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フッサールの現象学をルーマン流に再記述し意識と存在を論じた巻頭論文ほか,「個人」「人格」「主体」と称されてきたものを後期ルーマンのシステム論がいかに論じてきたか,これまであまり顧みられなかったトピックの,豊かな成果をうかがわせる論文集.
編訳者はしがき(村上淳一)
1 近代科学と現象学
2 意識はコミュニケーションにどう関わるか
3 社会分化と個人
4 「人格」という形式
5 主体の欺計と、人間とは何かという問い
6 間主観性かコミュニケーションか
7 インクルージョンとエクスクルージョン
ルーマンのシステム論は,その独特の用語法(「社会の社会」等)もあいまって,難解だとよく言われます.「対話的な公共性」のような分かりやすいスローガンもなく,“人間不在のシステム論”だという感想を持つ人もいるかも知れません.しかし,フーコーを引くまでもなく,“人間がいる”エピステーメーの限界に立たされたところから,現代思想の格闘は始まっていたのではないでしょうか.その目で見てみると,ルーマンのシステム論には,形而上的な,宙に浮いた“サイバネティクス”ではない,「もうひとつの人間論」が隠れていそうです.日本を代表するドイツ法学者であり,N.ボルツなどドイツ現代思想の紹介でも知られる編訳者村上淳一先生が,いくつかのソースから独自に集めてこられた論文7編を収録します.