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死という出来事により,人びとは死者と生者に引き裂かれる.哲学や宗教はこの事態をどのように受けとめ,その断絶を結び合わせようとしてきたのだろうか.「他界」の観念とその豊穣を喪失してしまっている今日,死は人びとにとって何を意味しているのだろうか.
I 他界へのまなざし
1章 「現前」する他界――なお傍らに在る他の世界をめぐって(熊野純彦)
2章 日本古代の他界観(藤村安芸子)
3章 死と他界(古東哲明)
4章 生まれて愛して死んでゆく、なんの不服があろうか――生の意味の根底を求めて(宇都宮輝夫)
5章 死と死者への感受の道(篠 憲二)
6章 時の流れを越えた場に向かって――死に直面する人間の希望(清水哲郎)
II 宗教が照らし出す死と生
7章 〈われわれ〉と〈わたし〉――統合失調症にみる「死者と生者の共同性」(渡辺哲夫)
8章 「擬生」と「擬死」からの甦り――エヒイェロギア的視点と物語り論的視点(宮本久雄)
9章 クルアーンの他界観――死をはさむふたつの生(塩尻和子)
10章 死生学から見た中国出土資料――「死者生の転倒」について(池澤 優)
11章 死生の位相転換――鎮魂慰霊を超えて(阿満利麿)
12章 生と死の反照を超えて――「行為の倫理」への試論(下田正弘)
本シリーズもついに最終巻.本巻は哲学・思想また宗教の観点から死生の問題にせまります.人が必ず死んでしまうということについて,人類はどのような思索をつむいできたのでしょうか.この根源的な問いにあらためて立ち返ることで,本シリーズもひとまず幕を閉じることになります.