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音楽がわかる,おもしろいと思う認知過程はいかなるものか,優れた作品はいかにデザインされているのか,演奏が「構成的」「創造的」と言えるのはなぜか,よい聴き手の条件とは何か――人が日常を芸術に取り込み,また日常へと還元するしくみを追究する.
はしがき(波多野誼余夫)
1 楽曲分析における認知(村尾忠廣)
2 旋律はいかに処理されるのか(阿部純一)
3 演奏に含まれる認知過程――ピアノの場合(大浦容子)
4 音楽認知のための知識表現(平賀 譲)
補稿 音楽の認知的理論をめざして(波多野誼余夫)
【解題】 逸脱を予知しながら生じる音楽の情動(村尾忠廣)
音楽心理学は,1920〜40年代は音の知覚・弁別などを中心としており,音を人間がどのように組み合わせ,構築し,構造としての音楽を聴く(認知する)か,という研究にはなかなか発展できないでいました.その乖離を一気に埋めたのが,マイヤーの『音楽と情動』(1956)でした.
本書は,「音楽と認知」研究の出発点であるこの書以降の,様々な認知研究や音楽理論の進歩を取り入れ,マイヤーの理論をどのように再評価・改訂しうるのかという課題に取り組んだものです.
解題は,亡くなった編者の波多野先生と交流の深かった村尾先生による,マイヤー理論のその後の発展と,反論などの再考になっています.編者とも討論したという独自の「坂すべり」理論も紹介されます.