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1972年の国交回復以来、最も冷え切っているといわれる日中関係。こうした現状を憂慮する日中の若手研究者らによる、共同研究の成果。近現代の日中関係史を形成し争点となってきた事件・問題についてそれぞれの視点から整理し、共通理解への道筋を探る。
第I部 歴史の事実と歴史認識
1章 日中関係史の語り方―19世紀後半(茂木敏夫)
2章 関係緊密化と対立の原型――日清戦争後から21カ条要求まで(川島 真)
3章 「反日」・「反中」循環の中の日中外交――満州事変前夜(劉 傑)
4章 「田中上奏文」をめぐる論争――実存説と偽造説の間(服部龍二)
5章 満州国史の争点――同時代と後世の視角(樋口秀実)
6章 南京アトロシティズ――建設的な対話は可能なのか(楊大慶)
7章 汪兆銘と「南京国民政府」――抵抗と協力の間(劉 傑)
第II部 和解のための歴史認識を求めて
8章 日本の歴史教科書の制度と論争構図(三谷 博)
9章 歴史教科書にみる日中の相互認識(茨木智志)
10章 台湾の日本時代をめぐる歴史認識(浅野豊美)
11章 戦後日本の政治と慰霊(村井良太)
12章 戦争賠償問題から戦後補償問題へ(楊志輝)
13章 歴史対話と史料研究(川島 真)
小泉首相の靖国神社参拝をきっかけとして,日中の歴史認識問題をめぐってさまざまな意見,主張が飛び交い,書店にも多くの本が並んでいます.中にはかなり挑発的なタイトルのものも見受けられます.
でも,日本と中国は地理的に隣国であり,過去から現在,そして未来に向かってもお互いを無視することはできない間柄です.だからこそ,「反〜」「嫌〜」と感情的な言葉で片付けるのではなく,冷静に日中関係を考える必要があるのではないでしょうか.本書はまさにそのために誕生したのです.
冷静な思考に不可欠なのは,まず事実の把握.現代の日中関係の基層となっている日清戦争期から現代までの時期に,日中間で何が起こっていたのかを知る必要があるでしょう.学校の歴史の授業でもあまりきちんと取り上げられない時代なので,特に本書の第I部のテーマについては知らない方も多いかもしれません.事実を把握した上で,それらの出来事が両国でどのように認識されているのか,認識の相違も含めて理解することが大切です.
日中両国の研究者たちが行った理性的な議論と対話の成果が,本書です.ぜひ,未来志向の日中関係を考える上で,役立ててほしいと思います.