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独占禁止法違反などの経済犯罪を中心として,企業活動から生じる害悪が大きな社会問題となる時代状況を背景に,1990年代後半以降,法人処罰の在り方が盛んに論じられている.本書は,法人処罰をめぐる議論を国際比較を踏まえて理論的に検討し,刑法理論上での位置づけを明らかにするとともにその具体的要件を構築する.
第1章 日本法
第1節 法人処罰をめぐる議論の系譜
第2節 法人処罰をめぐる議論の理論的検討
第3節 比較法分析における基本的視点・目指す成果
第2章 イギリス法
第1節 イギリス法の基本構造
第2節 法人処罰の理論モデルと処罰要件の検討
第3節 本章の成果
第3章 アメリカ法
第1節 アメリカ連邦判例の理論構造
第2節 法人処罰の理論モデルと処罰要件の検討
第3節 本章の成果
第4章 ドイツ法
第1節 法人の犯罪能力否定説と現実の対応策
第2節 同一視理論の検討
第3節 本章の成果
第5章 スイス法・オーストラリア法
第1節 スイス法
第2節 オーストラリア法
第3節 法人処罰を規律する基本的思考枠組み
終 章 法人処罰の理論的基礎と具体的要件の構築
第1節 法人処罰の理論的基礎
第2節 法人処罰の具体的要件の構築
第3節 両罰規定の解釈と立法の指針
結 語
肉体も精神も持たない「法人」に対し,肉体と精神を持つ「自然人」を想定してつくられたきた刑法理論はどこまで適用できるのでしょうか? シンプルかつ根源的なこの問いに対する考察は,社会のなかにおける企業の存在がますます大きくなる今日こそ,求められていると思います.イギリス・アメリカ・ドイツなど,同様の問題を抱えた他国での議論を幅広く渉猟した本書は,新進気鋭の刑法学者の鮮烈なデビュー作です.