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メガシティ【全6巻】

[シリーズ著者]

村松 伸

シリーズ刊行にあたって

 人類と地球のサステイナブルな未来は,メガシティに大きく委ねられている.では,私たちはそれにどのように対処したらいいのだろうか.これが本シリーズ全6巻を貫く中心的問いである.地球の総人口は現在73億人(2015年),やがて,100億人になろうとしている.都市人口は2008年に地球総人口の半分を超え,人口1000万人のメガシティは18都市,400万人以上のメガシティ予備軍にいたっては53都市にのぼる.その人口の多さと集中度からメガシティがもたらすさまざまな負荷はとてつもなく巨大である.
 グローバルには温室効果ガスの排出,自然資源・水産資源などの大量消費,海洋汚染,ローカルには大量の廃棄物,河川の汚濁,疫病の発生等々,メガシティを筆頭に都市は,人類と地球を危機に陥れる張本人として取り扱われてきた.しかし一方,都市の誕生は,火の使用,農業の発明に匹敵する人類の文明の重要な画期のひとつと見なされる.非都市から人々をひきつけ,教育,福利,安心と安全を提供し,人類の発展に寄与する多数の飛躍的発明・発見も都市が育んできた.
 地球環境問題のひとつとしてメガシティが俎上にのぼる際の現在の通俗的な視点を疑い,人類の長い歴史の中でメガシティの意味を再考したい.これが,総合地球環境学研究所(略称,地球研)の2009年から2014年の6年間にわたるプロジェクト「メガシティが地球環境に及ぼすインパクト:そのメカニズム解明と未来可能性に向けた都市圏モデルの提案」(略称,メガシティプロジェクト)の目的であった.本シリーズは,その巨大プロジェクトの大きな成果のひとつである.
 第1巻『メガシティとサステイナビリティ』は,本シリーズの総括にあたり,第2巻から第6巻までの全体像を概括するとともに,メガシティを通して人類と地球のサステイナビリティを確保するための指針とアイデア,すなわち,都市サステイナブル指標(CSI)と,その応用手法を提案する.
 第2巻『メガシティの進化と多様性』は,現在存在している18のメガシティについて,歴史的な比較をおこない,なぜ,これらの都市が巨大化したかに焦点をあて,6つの都市発展経路,すなわち都市地域生態圏の存在を提唱する.
 第3巻『歴史に刻印されたメガシティ』は,東京首都圏に次いで巨大なインドネシアのジャカルタ首都圏をとりあげる.この都市がなぜ,どのようにメガシティとなったかについて,16世紀から20世紀までの500年間を新たな史料と複合的な視点から分析する.
 第4巻『新興国の経済発展とメガシティ』は,経済学的視点から新興国メガシティの代表としてジャカルタ首都圏をとりあげ,その現状とその未来に対して,新たなモデル化と環境政策を提案する.
 第5巻,第6巻は,メガシティで生じている様々な不具合を,無秩序な郊外の拡大・スプロール化と高密度化の二つの現象に分け,学際的に分析する.そして,それぞれ,第5巻『スプロール化するメガシティ』,第6巻『高密度化するメガシティ』で,建築家,ランドスケープ家たちがジャカルタ首都圏を事例として,具体的な介入の方針とその手法を提示する.
 メガシティと地球環境の複雑な関係の解明,その不具合の解決,利点の育成などについての学問的考究は,都市人口が地球人口の半分を超えた2010年前後に世界のいくつかの地域で同時多発的に始まった.世界に先駆けてその難題に立ち向かった本メガシティプロジェクトの成果として,本シリーズをここに広く開示したい.

シリーズ編者 村松 伸
シリーズの特徴
◆人口1000万人以上を擁する都市=メガシティが地球環境と共生していくことができるのかを総合的に問う世界初のシリーズ.
◆本シリーズは総合地球環境学研究所で2009年から2014年まで行なわれたプロジェクト「メガシティが地球環境に及ぼすインパクト:そのメカニズム解明と未来可能性に向けた都市圏モデルの提案」の成果をまとめ,世に問うものである.
◆メガシティプロジェクトは経済学,歴史学,宗教学,人口学,水文学,景観学,建築学,社会基盤学,都市計画学,建築家などの多様な専門家が多数参加した学際的なプロジェクトである.
◆シリーズ全体を総括する第1巻,18のメガシティを比較分析する第2巻,メガシティとしてのジャカルタを歴史的に跡づける第3巻,経済学的視点からジャカルタに焦点を当てる第4巻,スプロール化にいかに対処するかを検討する第5巻,高密度化問題への具体的介入手法を提案する第6巻でシリーズを構成.

 

メガシティ1 メガシティとサステイナビリティ


編者
村松 伸(東京大学生産技術研究所教授・総合地球環境学研究所客員教授)
加藤浩徳(東京大学大学院工学系研究科教授)
森宏一郎(滋賀大学国際センター教授)

 

 世界人口は2050年には90億人を,21世紀末には100億人を突破するとみられている.それにともない都市圏人口1000万人を擁するメガシティも増加しようとしている.地球環境に巨大な影響を及ぼすメガシティの実像とはどのようなものなのか.第1巻は,シリーズ全体の総論としてメガシティ考察のためのイントロダクションとなる.

 シリーズ刊行にあたって
 第1章 総説:メガシティと地球環境をめぐる問題群
 第2章 メガシティとその出現経緯
 第3章 地球環境・経済・社会:都市を考える3要素
 第4章 メガシティとサステイナビリティ
 第5章 ミクロ介入:ラディカル・インクリメンタリズムの実践
 〈座談会〉地球のなかのメガシティ
 [第1巻執筆者一覧]
  村松 伸,深見奈緒子,内山愉太,山田協太,森宏一郎,加藤浩徳,山下裕子,村上暁信,山下嗣太,三村 豊,林 憲吾,中大窪千晶,山雄和真,岡部明子

メガシティ2 メガシティの進化と多様性


編者
村松 伸(東京大学生産技術研究所教授・総合地球環境学研究所客員教授)
深見奈緒子(日本学術振興会カイロ研究連絡センター・センター長)
山田協太(京都大学地域研究統合情報センター特任助教)
内山愉太(金沢大学人間社会研究域博士研究員)

 

 ひとくちにメガシティといってもその実状は多様である.第2巻では,都市地域生態圏という括りを提案し,地球上の18のメガシティを比較分析する.なかでも都市範囲,人口,居住環境,都市計画に着目し,その共通性と多様性を明らかにし,全球全史上にメガシティを位置づける.

 シリーズ刊行にあたって
 第1章 総説:メガシティと都市地域生態圏
 第2章 メガシティの多様性と共通性:都市地域生態圏,人口変動
 第3章 都市地域生態圏から見た18メガシティの動態
 第4章 居住環境の地球史:連結し連動するメガシティ
 〈座談会〉全球18のメガシティを比較する
 〈付録〉18メガシティ総覧:その発展経路と居住環境
 [第2巻執筆者一覧]
  村松 伸,深見奈緒子,内山愉太,林 玲子,山田協太

メガシティ3 歴史に刻印されたメガシティ


編者
村松 伸(東京大学生産技術研究所教授・総合地球環境学研究所客員教授)
島田竜登(東京大学大学院人文社会系研究科准教授)
籠谷直人(京都大学人文科学研究所教授)

 

 現在の状況だけを見ていてもメガシティの実態には迫ることはできない.第3巻では,メガシティと歴史の相関を主題とし,東京に次ぐ,世界第二の都市圏人口を抱えるジャカルタに着目する.16世紀から20世紀までの歴史的視点から,ジャカルタがメガシティへといたる発展プロセスの要因を多角的に探る.

 シリーズ刊行にあたって
 第1章 総説:なぜジャカルタを歴史的に見るのか
 第2章 ジャカルタの国際的契機:マニラ,マカオ,マラッカ,そして日本
 第3章 歴史からみたジャカルタの自然と都市空間
 第4章 会社のつくった都市バタヴィア:オランダ東インド会社時代,1619.1799年
 第5章 オランダ領東インドの中心都市としてのバタヴィア,1800.1949年
 第6章 メガシティ化するジャカルタ:独立後の変容
 第7章 計画と現実との齟齬:首都ジャカルタの7つの空間計画,1957.2012年
 〈座談会〉ジャカルタはなぜメガシティになったのか
 [第3巻執筆者一覧]
  村松 伸,島田竜登,籠谷直人,松田浩子,新井健一郎,志摩憲寿

メガシティ4 新興国の経済発展とメガシティ


編者 村松 伸(東京大学生産技術研究所教授・総合地球環境学研究所客員教授)
山下裕子(一橋大学大学院商学研究科准教授)

 

 メガシティにとって環境政策と経済政策の間にはジレンマがあり,どちらかを優先することは,その一方を犠牲にすることになる.第4巻では,ジャカルタの鉄鋼業を俎上にのせ,産業構造と環境規制の相関がメガシティの存立にどのように作用しているのかを検討する.その上で,新興国メガシティ経済について新たなモデル化と環境問題解決策を提案する.

 シリーズ刊行にあたって
 第1章 総説:新興国の経済発展とメガシティ
 第2章 新興国のヒト・モノ・カネ
 第3章 環境規制とその意図せざる結果
 第4章 ジャカルタの鉄鋼業と産業立地
 第5章 経済発展の負の効果をどう捉えるか
 第6章 新興国メガシティの経済発展モデルに関する検討と考察
 〈座談会〉経済と環境のジレンマ
 [第4巻執筆者一覧]
  村松 伸,山下裕子,上原 渉,鷲田祐一,森宏一郎,内山愉太

メガシティ5 スプロール化するメガシティ


編者 村松 伸(東京大学生産技術研究所教授・総合地球環境学研究所客員教授)
村上暁信(筑波大学大学院システム情報工学研究科准教授)
林 憲吾(総合地球環境学研究所センター研究推進支援員)
栗原伸治(日本大学生物資源科学部准教授)

 

 モータリゼーションの進展とともにメガシティが無秩序に拡大していくスプロール化を避けては通れない.第5巻では,ジャカルタを対象に,建造環境,自然環境,社会環境に大きな負荷を与えるスプロール化の実態を分析し,その対応策の可能性を検討する.

 シリーズ刊行にあたって
 第1章 総説:都市と自然環境の相利共生
 第2章 モンスーンアジア都市生態圏とスプロール化
 第3章 ジャカルタの郊外化と居住環境
 第4章 郊外の自然環境とカンポン
 第5章 スプロール化への統合的デザイン介入
 〈座談会〉スプロール化するメガシティ
 [第5巻執筆者一覧]
  村松 伸,村上暁信,エルナン・ルスティアディ,林 憲吾,三村 豊,新井健一郎,板川 暢,一ノ瀬友博,山下嗣太,土谷貞雄,中大窪千晶,栗原伸治,山雄和真

メガシティ6 高密度化するメガシティ


編者 村松 伸(東京大学生産技術研究所教授・総合地球環境学研究所客員教授)
岡部明子(東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)
林 憲吾(総合地球環境学研究所センター研究推進支援員)
雨宮知彦(ユニティデザイン一級建築士事務所)

 

 スプロール化と並んで,メガシティに避けがたく生じる課題には,高密度居住がある.高密度居住はどのように生成してきたのか.第6巻では,ジャカルタにおける高密度居住に焦点をあて,そのマイナス面だけではなく,そのメリットも見すえつつ,メガシティの望ましい居住環境を展望する.

 第1章 総説:メガシティと貧困
 第2章 貧困・都市・気候変動
 第3章 ジャカルタのカンポン:スラム化と集住の知恵
 第4章 チキニにおけるミクロ実践
 第5章 スラム化の経緯と実態,超高密度が生む知恵:チキニを事例に
 第6章 ラディカル・インクリメンタリズム
 〈座談会〉高密度化するメガシティ
 [第6巻執筆者一覧]
  村松 伸,岡部明子,林 憲吾,山下嗣太,三村 豊,安部遼祐,原科幸爾,村上暁信,雨宮知彦,吉田貢士,ジョコ・アディアント,エリサ・エファワニ

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