TOP > 法の再構築【全3巻】

法の再構築【全3巻】

[シリーズ著者]

渡辺 浩

江頭 憲治郎

第1巻 国家と社会  江頭憲治郎・碓井光明 編

20世紀の日本は積極的国家観に支えられ「国家」の役割を拡大させてきたが,最近の新しい潮流,例えば市場の自律性を重視する自由化傾向の増大,家族・会社・地域などから構成される「社会」の機能の弱体化により,新しい国家像とそれに基づく国家法が求められている.本巻では,「国家」と「社会」の新たな関係に根差した,法の再構築を模索する.

第2巻 国際化と法  塩川伸明・中谷和弘 編

国際化の進展により,長らく安定していた「境界」は大きく揺れ動いた.境界が新たに引き直され,あるいは空間的配置は同じでもその意味するところを大きく変え,境界を超えたヒト・モノ・カネ・情報等々の移動も飛躍的に拡大した.本巻では,「境界」についての原理的考察を踏まえつつ,その移動と意味変容の諸相を多面的に明らかにする.

第3巻 科学技術の発展と法  城山英明・西川洋一 編

科学技術の発展が法システムに対して大きな挑戦を意味するのは,それが伝統的な法的思考の中核にある考え方とそれを基礎づける人間観を大きく揺るがせるものだからである.本巻では,従来の枠組みに再考を迫る「科学技術と法」に焦点を当て,科学技術の発展に対応して求められる新たな法概念を模索する.



刊行にあたって

 法は,無限の多様性を有する具体的な人間関係・社会関係を一定の価値観,尺度により人為的に細分化・分節化して,独自の構造原則を有する「法的関係」を構成し,それを規律する規範として形成されてきた.そして,歴史的に形成されてきた法の思考の中核には,常に「峻別」・「境界づけ」がある.
 しかし,21世紀に入った現在,社会,経済,国際関係が,複雑に絡み合いながら,大きな変動に見舞われ,それに応じて,法を基礎づける様々な「境界」が急速に相対化・流動化しつつある.われわれは,複合的な「ボーダレス化」に伴う諸現象とその相互関係を直視し,それらが全体としてもつ意味を明らかにするとともに,現実との矛盾緊張関係を意識しつつ,現代的な条件の下において,新たな法的関係――あらたな「境界づけ」――を構想し,それに基づく「法システムの再構築」を行うことを迫られている.
 このような問題意識の下に,東京大学法学部の学術創成プロジェクト「ボーダレス化時代における法システムの再構築」の共同研究が進められてきた.第1期(2001年4月‐2003年9月)には,5問題群を設定して分野横断的な共同研究を行い,その成果は,渡辺浩・江頭憲治郎編集代表『融ける鏡 越える法』全5巻(東京大学出版会,2005年)として刊行された.
 本シリーズ『法の再構築』全3巻は,第1期の問題群を再編成して3チームによる共同研究を行った第2期(2003年10月-2006年3月)における研究成果を収めている.第1期の成果を踏まえつつ,「国家と社会」,「国際化」および「科学技術の発展」の視点による「法の再構築」を試みたものである.もとより,それは壮大な作業であって,本シリーズは,その緒を示すものにすぎないが,法の再構築に向けた更なる研究への起爆剤となることが期待される.

 編集代表 渡辺 浩・江頭憲治郎



各巻詳細

第1巻 国家と社会

 I 市場と国家
  1 政府業務の民間開放と法制度の変革   碓井光明(東京大学)
  2 会社支配市場に関わる法規制の再構築   中東正文(名古屋大学)
  3 税制の公平から分配の公平へ   増井良啓(東京大学)
 II 国家と社会
  4 社会保障法と憲法25条――社会保障制度における「国家」の役割をめぐって   岩村正彦(東京大学)
  5 国有財産・公有財産に関する規制の緩和   碓井光明(東京大学)
  6 韓国の国家財産法の現況と立法政策的課題   金性洙(漢陽大学)
 III 法形成の主体
  7 経済団体等による法の形成・執行と利益相反問題   江頭憲治郎(東京大学)
  8 ドイツ医療保険法における定額設定制度について   太田匡彦(東京大学)
  9 国境を超える「社会」――トランスナショナル社会運動   大串和雄(東京大学)

第2巻 国際化と法

 I 境界とは何か
  1 生権力と国家――境界線をめぐって   杉田 敦(法政大学)
  2 国境はなぜ,そして,いかに引かれるべきか?   長谷部恭男(東京大学)
 II 境界の変動および意味変容
  3 「国家結合の理論」と憲法学   石川健治(東京大学)
  4 国際法における「境界」の位相   中谷和弘(東京大学)
  5 国家の統合・分裂とシティズンシップ――ソ連解体前後における国籍法論争を中心に   塩川伸明(東京大学)
 III 変容する国際社会と法・政治の対応
  6 パレスチナ問題と国際法   茂田 宏(元外務省)
  7 規範と実践の交錯――開発・HIV/AIDS・人権   元田結花(北海道大学)
  8 東アジア地域統合の胎動――経済連携協定網の役割   宮川真喜雄(日本国際問題研究所)
  9 法整備支援のあり方について――カンボディア王国民事訴訟法案起草支援作業の経験から   松下淳一(東京大学)
  10 文化と自由貿易――ユネスコ文化多様性条約の採択   鈴木秀美(大阪大学)
 IV 人の国際移動と法・政治の対応
  11 国際移住の法システムと法政策――ドイツ法とEU法を素材として   広渡清吾(東京大学)
  12 民法における「外国人」問題――契約拒絶を中心に   大村敦志(東京大学)
  13 国際化と地方自治   斎藤 誠(東京大学)

第3巻 科学技術の発展と法

 I 科学技術と生命観
  1 科学技術の発展と法――その歴史的文脈   西川洋一(東京大学)
  2 生まれない権利?――ロングフル・バース及びロングフル・ライフに関する独仏の法的議論における人間の尊厳   ブリッタ・ヴァン・ベアーズ(アムステルダム自由大学)
  3 イギリスと日本における動物実験規則――動物観から見た法制度設計   神里彩子(科学技術文明研究所)
 II 法制度設計の基礎
  4 現代型刑罰法規と罪刑法定主義   高山佳奈子(京都大学)
  5 リスク評価・管理と法システム   城山英明(東京大学)
  6 予防原則に関する一考察   大塚 直(早稲田大学)
  7 学問と法システム   山本隆司(東京大学)
 III 法的概念の変容と持続
  8 科学技術の進歩と刑法――過失責任の視点から   山口 厚(東京大学)
  9 電子商取引時代の法整備――証券取引の電子化を素材として   神田秀樹(東京大学)
  10 金銭および有価証券の無体化・電子化と「占有」概念   森田宏樹(東京大学)
 IV グローバル化のなかの科学技術
  11 大量破壊兵器等の拡散阻止に向けての国際法――「過激主義と科学技術の交差」に直面して   青木節子(慶應義塾大学)
  12 国際環境法における手続的メカニズムの意義――事前協議を中心に   児矢野マリ(静岡県立大学)

●書籍検索

●ジャンル

シリーズ・講座

●最新情報