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行政学叢書【全12巻】

[シリーズ著者]

西尾 勝

第1巻 官庁セクショナリズム  今村都南雄[中央大学]

セクショナリズムは官僚制の病理でしかないのか.この現象を歴史過程,政治過程,組織過程の三つの側面から捉え直し,その複合的性格の淵源を明らかにする.官僚制組織の研究に新たな切り口を示す意欲的取り組み.

第2巻 財政投融資  新藤宗幸[千葉大学]

近代日本がつくりだした巨大な政府金融システム=財政投融資とは何か.それはどのような仕組みをもち,いかなる機能をはたしてきたのか.2001年改革による制度変化と残された課題を探り,そのあるべき将来像を模索する.

第3巻 自治制度  金井利之[東京大学]

2000年分権改革は,「第三の改革」と称される大きな改革をもたらした.と同時 に,「改革が改革を呼ぶ」現象を生んでいる.本書は,2000年改革によって流動化し始めた自治制度改革が,どのように進行しているのか,そして,それは安全に制御されているのか,分析するものである.

第4巻 官のシステム  大森彌[東京大学名誉教授]

日本国の行政は,官によって担われ,省庁再編や分権改革などによって変化を余儀なくされ,改革を迫られている.リフォームは型替え(転型)であるが,官のシステムは転型への強い粘性をもち続けている.本書は,この変化と粘性を,組織と人事の管理方式という観点から解明し,官の転型を展望する.

第5巻 地方分権改革  西尾勝[東京市政調査会理事長]

本書のねらいは,第一に,戦後日本の地方制度の特徴点を国際比較の観点から明確にすること,第二に第一次分権改革の道筋と道程を鮮明にすること,第三に今後の分権改革の展望を描くこと,第四に分権改革と政治改革とは不可分の一体であることを明確にすることである.

第6巻 内閣制度  山口二郎[北海道大学]

統治機構の柱として,議院内閣制は長い伝統を持ち,時代とともに変容してきた.本書は,近代日本において議院内閣制がどのように定着し,戦後の政党政治の中でどのように運用されてきたかを明らかにする.さらに,1990年代以降の行政改革や構造改革によって,内閣の制度や構造がどう変わったかという最新の問題にも迫る.

第7巻 国際援助行政  城山英明[東京大学]

国際援助は国際行政に不可欠な財政としての意味を帯びるとともに,受入国の財政との調整が重要になりつつある.本書は,このような国際援助行政の歴史的展開,構造と援助調整等の運用,受入国財政との関係,実施過程について,具体的な事例も用いつつ総括的に検討する.

第8巻 行政改革と調整のシステム  牧原出[東北大学]

「調整」概念の成立が,学知としての「行政学」の制度化の基盤にあることを,アメリカ,イギリス,オーストラリア,ドイツ,日本を比較しつつ論じた上で,その作動形態を,近年の改革過程までをも射程に入れて分析する.「調整」概念を通じて,行政学の原型に横たわる思考様式に接近することをめざす.

未刊 第9巻 地方財政  田邊國昭[東京大学]

本書では,まず,戦後日本の地方財政システムの展開について,主として国と地方とをリンクする財政調整のシステムを中心として,その成立の過程とそのもとでの動きを示す.次に,これらの既存の地方財政システムがどのような改革の過程をたどっているのか,さらに,その改革が地方においてどのように受け止められているのかを明らかにする.

第10巻 道路行政  武藤博己[法政大学]

日本の道路は戦後のモータリゼーションの進展とともにその重要性が認識され,経済成長とともに膨大な投資が行われてきた.西欧諸国では数世紀に渡って整備されてきたが,日本では短期間で行われてきたため,様々な歪みを生じさせた.このような日本の道路行政をマクロ・ミクロの視点から分析する.

未刊 第11巻 公務員制  西尾隆[国際基督教大学]

行政活動が公務員という人間集団によって行われる以上,その能力・組織・規律を枠づけるアートの体系としての公務員制は,行政の最も基本的な制度である.それは歴史的に形成され,社会に根を張り,政治状況とも密接に関係する.本書は,現行制度の構造と課題を戦後史の中に位置づけつつ,改革の行方を展望する.

未刊 第12巻 政府・産業関係  廣瀬克哉[法政大学]

日本の産業政策が脚光を浴びた時期から,規制緩和と市場競争を指向する改革の時代へ,政府産業関係はどのように変化してきたのか.ダイナミックな業態の変化を経験した情報通信産業を対象とし,技術革新・競争構造と政策手段との相互関係の視点から分析する.



刊行にあたって

 日本行政学会の創立以来,『行政学講座』(辻清明ほか編,東京大学出版会,一九七六年)と『講座 行政学』(有斐閣,一九九四-九五年)が刊行された.私が編集代表を務めた『講座 行政学』の出版からすでに十余年の歳月が徒過してしまった.『講座』の刊行を終えたらこれに続いて『行政学叢書』の編集企画に取り掛かるというのが,私の当初からの構想であった.しかしながら,諸般の事情が重なって,刊行の予定は大幅に遅れ,とうとう今日にまで至ってしまった.
 しかし,この刊行の遅れは,考えようによってはかえって幸いであったのかもしれない.一九九五年以来ここ十余年における日本の政治・行政構造の変化にはまことに大きなものがあったからである.一九九三年には自民党が分裂し,一九五五年以来三八年間続いた自民党単独一党支配時代は幕を閉じ,連立政権時代に移行した.そして政治改革の流れの始まりとして衆議院議員選挙が中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に改められ,政党助成金制度が導入された.また一九八〇年代以来の行政改革の流れの一環として行政手続法や情報公開法が制定された.第一次分権改革によって機関委任事務制度が全面廃止され,地方自治法を初め総計四七五本の関係法令が改正された.「小沢構想」が実現に移され,副大臣・大臣政務官制度や党首討論制度が導入され,政府委員制度が廃止された.「橋本行革」も法制化され,内閣機能の強化,中央省庁の再編成,独立行政法人・国立大学法人制度の導入,政策評価制度の導入が行なわれた.さらに,総選挙が政権公約(マニフェスト)を掲げて戦う選挙に変わった.そして小泉内閣の下では,道路公団等の民営化や郵政事業の民営化が進められ,「平成の市町村合併」も進められた.
 その一方には,公務員制度改革のように,中途で頓挫し先送りにされている改革もあるものの,憲法に準ずる基本法制の多くに戦後改革以来の大改正が加えられたのであった.したがって,この『行政学叢書』の刊行が予定どおりに十余年前に始められていたとすれば,各巻の記述は刊行後すぐに時代遅れのものになってしまっていた可能性が高いのである.
 このたび,往年の企画を蘇生させ,決意も新たにこの『行政学叢書』の刊行を開始するにあたって,これを構成する各巻の執筆者には,この十余年の日本の政治・行政構造の著しい変化を十分に踏まえ,その上で日本の行政または行政学の前途を展望した内容の書籍にしていただくことを強く要望している次第である.  この『行政学叢書』は,巻数も限られているため,行政学の対象分野を漏れなく包括したものにはなり得ない.むしろ戦略的なテーマに焦点を絞って行政学のフロンティアを開拓することを目的にしている.一口に行政学のフロンティアの開拓と言っても,これには研究の領域または対象を拡大しようとするものもあれば,新しい研究の方法または視角を導入しようとするものもあり得る.また特定の主題についてより深く探求し,これまでの定説を覆すような新しい知見を提示しようとするものも含まれ得る.そのいずれであれ,ひとりひとりの研究者の目下の最大の学問的な関心事について「新しいモノグラフ」を一冊の単行本にまとめ,これらを連続して世に問うことによって,日本の行政学の新たな跳躍の踏み台を提供することを企図している.そしてまた,この学問的な営みがこの国の政治・行政構造の現状認識と改革提言の進歩発展にいささかでも貢献できれば,この上ない幸せである.

 二〇〇六年三月
                             編者  西尾 勝

各巻詳細

第1巻 官庁セクショナリズム

 序章 なぜ官庁セクショナリズムか
 I章 セクショナリズムの歴史過程
 II章 セクショナリズムの政治過程
 III章 セクショナリズムの組織過程
 終章 求められる対応指針

第2巻 財政投融資

 序章 予算のなかの財政投融資
 I章 財政投融資のしくみ
 II章 財政投融資の歴史的機能
 III章 二〇〇一年改革とは何であったか
 終章 財政投融資をどうするか

第3巻 自治制度

 I章 二〇〇〇年分権改革の路線
 II章 分権改革以後
 III章 大都市自治制度
 IV章 自治制度の外周

第4巻 官のシステム

 序章 官のシステム――変容と粘性
 I章 定員の削減と切落し
 II章 変わらぬ人事システム――職階制の未実施
 III章 組織管理の規格化
 IV章 大部屋主義の組織形成
 V章 所管課中心の職場組織
 VI章 分権改革と所管課の抵抗
 VII章 官の転型

第5巻 地方分権改革

 はじめに
 I章 戦後日本の地方制度の特徴
 II章 第一次分権改革の構図
 III章 第一次分権改革の成果と限界
 IV章 第二次分権改革への流れ
 V章 集権分権理論の再構成
 おわりに

第6巻 内閣制度

 I章 歴史と制度の概観
 II章 日本における内閣制度の展開
 III章 議院内閣制における政治と行政

第7巻 国際援助行政

 序――本書の視座
 I章 国際統治の変容と国際援助の形成
 II章 国際援助行政の歴史的展開
 III章 国際援助行政の構造と援助調整
 IV章 国際援助と受入国の財政
 V章 国際援助の実施過程
 おわりに――国際援助行政の課題

第8巻 調整

 はじめに――「調整」の概念
 I章 政策・ドクトリン・理論――諮問機関の比較行政分析
 II章 日本における諮問機関報告書の中の「調整」概念
 III章 「調整」の作動形態――協議の分析
 IV章 「総合調整」の作動形態――「官房」による「調整」
 おわりに――新しい地方財政システムを目指して

第9巻 地方財政

 はじめに――地方財政システムの政治経済学的基礎
 第1部 戦後日本の地方財政の展開
  I章 地方財政システムの形成
  II章 地方財政システムと地域格差
  III章 地方財政システムと政治支配
 第2部 地方財政システムの改革
  IV章 地方財政システムの改革の過程
  V章 地方財政改革への対応
 おわりに――新しい地方財政システムを目指して

第10巻 道路行政

 I章 道路計画と道路財源――道路をめぐる政治学
 II章 道路の建設,管理と入札業務――道路をめぐる行政学
 III章 高速道路株式会社の経営と新道建設――道路の経営学
 IV章 道路と物流――道路の経済学
 V章 生活をとりまく道路――交通,狭隘道路,赤道,私道
 おわりに――安全な道路,快適な道路,道路の政策評価

第11巻 公務員制

 I章 公務員制とその課題
 II章 歴史の中の公務員制
 III章 公務員制の自律化と人事院
 IV章 公務員制度改革の争点化と政治
 V章 「霞ヶ関文化」とその解体
 VI章 公務員の市民化に向けて

第12巻 政府・産業関係

 序  I章 競争維持的業界支援
 II章 市場構造への設計主義
 III章 技術革新のインパクト
 IV章 競争政策と政府産業関係
 結び

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