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日本史講座【全10巻】

[シリーズ著者]

歴史学研究会

日本史研究会

日本史講座1 東アジアにおける国家の形成(04年5月刊)

旧石器時代から律令国家成立に至る過程を,最新の発掘調査の成果をふまえ,南北に延びる列島社会の多元性や,海によって結ばれる大陸との関係にも配慮しつつ描き出す.
[執筆者]松藤和人・今村啓爾・森岡秀人・仁藤敦史・舘野和己・和田晴吾・吉川真司・広瀬和雄・田中聡・吉村武彦

日本史講座2 律令国家の展開(04年6月刊)

律令を軸に,「日本」の自己認識を伴いながら形作られた古代国家の政治・経済の動きから,庶民の生活や文化までを,「奈良」「平安」の枠をこえた広い視野で概観する.
[執筆者]坂上康俊・鷺森浩幸・浅野 充・山口英男・櫛木謙周・西本昌弘・本郷真紹・大町 健・服藤早苗・加藤友康

日本史講座3 中世の形成(04年7月刊)

古代から中世へと移行する社会を,東アジア世界の変貌のなかに位置づけ,「変化」と「連続性」の双方を意識しつつ,中世的秩序がいかに形作られ,その特質とは何か追究する.
[執筆者]木村茂光・寺内 浩・遠藤基郎・佐藤泰弘・高橋昌明・近藤成一・阿部泰郎・上島 享・飯沼賢司・山本幸司

日本史講座4 中世社会の構造(04年9月刊)

中世世界の政治・文化・生活の具体相を,人びとの内面を支える規範・秩序と人びとをとりまく環境・景観・世界の両面から浮き彫りにする.
[執筆者]海津一朗・山家浩樹・柳原敏昭・藤原良章・水野章二・平 雅行・細川涼一・酒井紀美・榎原雅治・矢田俊文・服部英雄

日本史講座5 近世の形成(04年10月刊)

[執筆者] 玉蟲敏子/藤井恵介/川本重雄/金行信輔/武笠 朗/日高 薫/荒川正明/泉 万里/丸山伸彦/木下直之/山崎 剛

日本史講座6 近世社会論(05年2月刊)

人びとの生活・生産の営みをはじめ,物の流通やさまざまな権力のあり方,外交,身分,性差,自然環境など,近世社会を構成した諸要素の分析をとおして,日本近世という時代を立体的にとらえる.
[執筆者]大藤 修・森下 徹・村田路人・藤田 覚・池内 敏・水本邦彦・塚田 孝・山口和夫・藪田 貫・横田冬彦

日本史講座7 近世の解体(05年4月刊)

近世から近代への展開を,その連続性と断絶の両面から分析.政治・外交の動きや経済構造の変容,さらに都市やそれぞれの地域社会,人びとの意識の変化など,さまざまな角度から近代への移行とはどのようなものであったか検討する.
[執筆者]横山伊徳・吉田伸之・奥村 弘・斎藤善之・横山百合子・久留島 浩・神田由築・谷本雅之・岩崎奈緒子・羽賀祥二

日本史講座8 近代の成立(05年1月刊)

近代国家が編成されてゆく過程を,政治・経済の制度や装置ばかりでなく,都市と農村,思想と運動,人びとの生活意識の変化にもふみこみ,「近代とは何か」を多角的に考察する.
[執筆者]小路田泰直・山口輝臣・尾崎耕司・小林啓治・水林 彪・武田晴人・布川 弘・小関素明・広田照幸・小松 裕・大門正克

日本史講座9 近代の転換(05年4月刊)

国境の外へと踏みだした日本が総力戦を遂行する体制の形成と崩壊の過程を東アジア・世界史とのかかわりを重視しつつ,軍事・外交・政治・国民意識から多角的に位置づける.
[執筆者]鈴木正幸・住友陽文・米谷匡史・安田 浩・西村成雄・伊藤正直・増田知子・山崎志郎・松村寛之・森 茂樹・山田 朗

日本史講座10 戦後日本論(05年7月刊)

“戦後”日本を特徴づける要素を析出し,高度成長の形成およびその後の大衆消費社会の成立,情報化社会の到来にいたる現代社会の変化をトータルに描く.
[執筆者]渡辺 治・赤澤史朗・進藤榮一・三宅明正・安田常雄・落合恵美子・浅井良夫・加瀬和俊・Andrew Gordon・冨山一郎・中西新太郎



刊行にあたって

 歴史学研究会と日本史研究会は科学的歴史学の構築をめざし,1956~57年に『日本歴史講座』,1970~71年に『講座日本史』,1984~85年に『講座日本歴史』と三次にわたり両学会の共同編集による講座を世に送ってきた.いまここに,第四次の講座を刊行する.
 顧みると,『講座日本歴史』の完結から現在にいたる約20年間ほど,予想もしなかった事態がつぎつぎと生起した時代もないだろう.今になってみると, 1986年のチェルノブイリ原発事故は,緊急に解決すべき困難な問題が国際社会に山積みしていることを告げる,象徴的なできごとだったと言えよう.
 ソ連の解体を頂点とする社会主義ブロックの崩壊は,無階級社会の実現を目標とする目的論的な歴史観を打ちのめした.体制のいかんを問わず,不動にみえた「国民国家」という枠組みが動揺し,国境なき世界が夢想でなくなりつつある.一方,民族的・宗教的な対立はおさまる気配がなく,また人類の活動が地球環境にとっての脅威となるなかで,立場を異にする諸集団が共生していく道は平坦ではない.9・11テロ以降,イラク攻撃をめぐる国際社会の分裂,日本のアメリカへの追随,有事法制と改憲の現実化が進行している.
 そうしたなかで,「日本史」学をとりまく状況も大きく変化している.一連の「大学改革」にともなう学部・学科再編により,研究・教育の場において歴史学という固有の学問の輪郭があいまいになってきている.また,国公立大学の法人化の過程において,人文学研究の将来にとって黙視できない深刻な事態も生じている.政治をはじめあらゆる面での危惧すべき状況にもかかわらず,研究者の側からの批判的言説は弱まっているのではないだろうか.学問研究を支える基盤を守り再構築してゆく努力の必要は,いよいよ大きくなっている.
 いまや,「日本史」学が日本という自明の対象をもつかのように考えられていた時代は去り,日本自体の多元的把握や国境の相対化を通じて,国民国家形成の特質を批判的に解明する必要が意識されるようになった.また,諸科学との協業が進み,過去の解明を目的とする他の学問領域との境界が方法的にも不分明になった.コンピュータ技術の驚異的な発達と普及は,情報処理や思考方法の側面からも,学問のあり方に変革を迫っている.それらにともなって,改めて歴史学存立の根拠が問われている.現在にふさわしい「日本史」の創造が必要とされているゆえんである.
 しかし,われわれが追求する新しい「日本史」の創造は,戦後歴史学が重ねてきた方法的模索を投げ棄てるところから始まるものではない.「社会構成体」,「階級闘争」といったことばに象徴される社会を総体的に把握するなかから変革の契機を見出そうとする,戦後歴史学が培ってきた指向は,現代の地平に立って批判的に継承する必要がある.単線的な発展の彼方に明瞭な未来がある,という歴史観の崩壊は,逆に,どんな遙かな過去のなかからも現代につながる問題を見出すことを可能にした,ともいえる.
 こうした流動的な状況を正面からうけとめて,21世紀のとば口に立つ現在,「日本史」学がとりくむべき課題を大胆に提起すべく,この第四次の講座を刊行する.
 その編集方針は以下の四点に要約される.

(1) 社会主義体制の崩壊,市場の暴走,テロや民族紛争・戦争,国際社会の分裂と国際協調の模索,環境破壊など,現代が直面する諸問題の由来を歴史のなかに探ることを通じて,未来につながる歴史像の創造をめざす.
(2) 近代国民国家の成り立ちを批判的に解明し,地理的・民族的な周縁やさまざまな世界・地域との連関において,「日本史」を多元的に把握する.
(3) 戦後歴史学における総体的把握への指向を継承し,社会的結合の多様なあり方のなかに,変革の契機を見出す.
(4) 関連諸学との協同のもとに,多様な史料から最大限かつ正確に歴史情報を探り出すための方法論の構築に寄与する.
編集委員会

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