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現代南アジア【全6巻】

1 地域研究への招待  長崎暢子 編

めざましい変貌を遂げつつある南アジア世界。政治・経済・社会・歴史という従来の研究分野をはじめとして、ジェンダー・環境・世界システム論など、最近の潮流もふまえ、総合的に研究史を分析し、南アジア研究の課題と方法、その特徴を浮き彫りにする。

2 経済自由化のゆくえ  絵所秀紀 編

経済自由化後のインド経済の変動を、マクロ・ミクロの両面から検証し、今後の南アジア経済のゆくえを展望する。IT産業の急成長が注目されるなかで、農業と工業、都市と農村の格差、とくに就業構造の変化を分析しながら、貧困や不平等の克服の途を探る。

3 民主主義へのとりくみ  堀本武功・広瀬崇子 編

国民国家の独立後、半世紀を経た激動のゆくえをどうみるか。複雑な要因から影響を受け展開する南アジア諸国の変化について、インド人民党の台頭や地方分権化など転換期のインドを中心に、選挙・憲法・軍政・外交などの視点から分析し、今後の方向性を提示する。

4 開発と環境  柳澤 悠 編

発展途上国の環境悪化は、焦眉の問題である。農業・森林・家畜などについて、歴史分析と現状研究とを結合して環境との関連を多角的に究明し、工業化と都市環境、人口・衛生、ジェンダーや住民運動・NGOと環境などについて、新たな議論を提示する。

5 社会・文化・ジェンダー  小谷汪之 編

現代の構造変動の基礎にある社会・文化を、歴史的に展望し、今日の政治的・経済的変容をどうとらえるか。宗教、言語、カースト、ジェンダーという民衆世界の側面から見通し、大規模経済開発やメディアの急発展との関係での現状を焦点化し解明する。

6 世界システムとネットワーク  秋田茂・水島司 編

世界システムとの構造的連関と、外部世界とつながる人、モノ、資本、情報の動きの交差する中で南アジアは地域形成を遂げてきた。国際政治や世界経済、移民、商品や金融取引ネットワークなどの歴史的役割を浮き彫りにし、グローバルな文脈で南アジア世界を捉える。



刊行の言葉

 インドは,「天竺」と呼ばれたその昔から,21世紀の現在にいたるまで,多くの日本人を魅了してきた.若者をかの地へのいざなうだけでなく,インドに発想を得て優れた作品を創作した芸術家も数多い.日本にとってのインドと中国は,仏教を考えてみれば分かるとおり,ヨーロッパにとっての古典古代ギリシア・ローマのように,日本人の精神生活に深い影響を与えてきたのであった.
 しかし現実のインド,あるいはそれを含んだ南アジアということになると,その情報の乏しさは,中国に関する夥しい著作とは対照的である.2001年9月の同時多発テロ以来,アフガニスタン空爆,印パ核戦争の危険,など多くの世界的な事件が南アジアに深く関係しているにもかかわらず,南アジア研究を踏まえた発言はきわめて少なかった.またIT産業に象徴されるようにこのところインド経済は着実に発展してきたがその行方はどうなるか,という問題についても,学問研究に根を下ろした正確な情報は手に入りにくい.その一方で現在の南アジア研究は専門化,細分化しており,何が問題なのか,分かりにくい状況にある.こうした現状を憂い,4年にわたって行った文部省科学研究費特定領域研究「南アジアの構造変動とネットワーク」の成果に基づき,シリーズ「現代南アジア」が編まれたのである.
 このシリーズの特徴は,第一に近現代の南アジア研究の成果を全体的,総合的に示すことを意図した点にある.現代南アジア研究のまとまった刊行は,日本で初めての試みであり,本シリーズをひもとけば読者は現代の南アジア研究の到達点をおのずと理解できるであろう.
 第二の特徴は,本シリーズは,政治,経済のような従来の学問分野を広くカヴァ-することはもちろん,環境やジェンダー,環インド洋研究など,新しい分野の研究を大胆に取り入れていることにある.発展し変化している南アジアの現状を踏まえ,将来を展望できる認識枠組みを把握できるようにすることが意図されている.
 第三の特徴は,このシリーズを多くの知識人,学生に読まれるように配慮した点にある.本シリーズは,南アジアの政治・経済の現状はもとより,サバルタン研究,ポスト・モダン,ポスト・コロニアリズム,公共圏,あるいはアマルティア・センのような経済学と倫理の問題など,知識人や学生が関心を持っている内容が,南アジアのコンテキストでどう取り組まれているかを平易な表現で語っている.
 本シリーズによって,南アジアを基点とした世界認識の枠組みが,21世紀における新たな知の体系の構築に貢献することができれば,編者,執筆者の望外の幸せである.
編者代表 長崎暢子

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