TOP > シリーズ 言語態【全6巻】

シリーズ 言語態【全6巻】

1 言語態の問い

[執筆者] 石田英敬/桑野隆/山中桂一/ブレンダン・ウィルソン/山田広昭/西谷修/クリスティーン・ラマール/イ・ヨンスク/松村剛/鈴木あゆみ/臼井隆一郎/酒井直樹/林文代

2 創発的言語態

[執筆者] 藤井貞和/佐藤良明/酒井正子/中川裕/青山英正/エリス俊子/柴田元幸/ポール・ロシター/斎藤兆史/鈴木英夫/野田学/川中子義勝/宮下志朗/廣田篤彦/根本美作子/倉数茂

3 書物の言語態

[執筆者] 宮下志朗/秋山学/本村凌二/遠藤光暁/坂梨隆三/中村雄祐/寺澤盾/兵藤裕己/松村剛/久保内端郎/ロジェ・シャルチエ/ガブリエーレ・シュトゥンプ/ベルナール・シュティグレール

4 記憶と記録

[執筆者] 臼井隆一郎/高橋哲哉/内藤千珠子/原聖/知花昌一/高良勉/藤井貞和/佐藤深雪/鍛治哲郎/榎本泰子/湯浅博雄/高村忠明/青木誠之/有田英也/工藤達也/アレイダ・アスマン

5 社会の言語態

[執筆者] 小森陽一/高橋健一郎/石田英敬/小松史生子/植田栄子/クレア・マリィ/フェティ・ベンスラマ/庄司宏子/西中村浩/山本史郎/丹治愛/アラン・デュラント

6 間文化の言語態

[執筆者] 池田信雄/西中村浩/ヘルベルト・イーアリングス/小森陽一/ペーター・ジャコムッツィ/中澤英雄/足立節子/野崎歓/木村哲也/斎藤兆史/大久保譲/西成彦/川村湊/今福龍太



刊行にあたって

 20世紀は,言語の世紀であったといわれる.現代の言語研究は,人間,社会,文化の知の地平をきりひらく中心的な役割を果たしてきた.20世紀を通じて世界規模でおこった,「構造主義」や「ポスト構造主義」などに代表された知の地殻変動は,私たちが社会や文化や人間を考える根本条件を大きく変化させた.しかし,そのような知の革命がひとつの区切りをむかえたと思われる今日,あらためて,20世紀の言語科学が明らかにした人間の言語能力と,社会や文化を構成していることばの実践や意味活動との関係については,新たな問い直しが求められている.
 じじつ,本来複数形で記されるべき「言語科学」(Language Sciences)のうち,「言語学」(Linguistics)が,とくにチョムスキー革命以後,抽象化,数学化の傾向を強め,生得的な言語能力としての普遍文法や人間の認知の構造の解明にむけて発展を遂げたのに対し,文化や社会やメディアなどを対象領域として,多様な言語活動の研究から出発し,20世紀にうみだされた<言語の知>(言語学,精神分析,詩学,記号論,現象学,解釈学,言語哲学など)とともに発達してきた一連の<ことばの研究>(ディスクール分析,メディア研究,テクスト理論,文学理論,物語学,文献学など)は,人間のことばの生態のあらゆる領域を対象とし,人間科学や社会科学の隣接分野と多様な対話をくりかえしつつ,広汎な研究フィールドをつくり出してきた.言語学に代表される<言語科学>の研究と,本来人間の生活と同じだけ多種なことばの実践態の研究をおこなう<ことばの研究>との関係は,もはや構造主義の時代に考えられたように,パイロット・サイエンスとしての「言語学」と,その適用領域としての文化や社会の研究といった図式におさまるものではなく,双方を結びつけている認識の糸がより複雑化し,交錯して,ときには対立し離反さえする傾向にある.それだけではない.このいわゆる<ことばの研究>は,複数性の具体的な言語実現を研究領域とする点において,単一な認識論的規定を受け容れるものではなく,周縁科学との錯綜した関係に結ばれて膨張をつづけている.それらの研究が,いまあらためて自らの学際的な問いを総括し,自己の領域をより明確にするための理論的な反省を求められているのである.
 東京大学大学院に1993年から発足した総合文化研究科言語情報科学専攻では,「言語態の研究」グループを中心として,従来,言語科学や文学研究の分野において,テクスト,ディスクール,物語,文体,メディア史などと呼ばれてきた対象領域を言語態と総称することによって,人間の文化や社会とことばの関係を総合的に理解する試みをおこなってきた.言語態とは,言語活動の具体的な実現により構成された実践の様態のことであり,歴史的,社会的,文化的に現実化されたかぎりでの言語の具体的な実現形態を指す.
 『シリーズ言語態』全6巻は,人間のことばの実践の総体を,ことばの生の様態としての言語態として捉え,20世紀の言語知の革命をへて,人間の<ことばの生存態(エコロジー)>について,どのような問いが今日立つのかを提起し,いかなるアプローチが可能なのかを提示する試みである.私たちは今,21世紀の<ことばの知>の新しい地平を開きたいと考えている.  

『シリーズ言語態』編集委員会

●書籍検索

●ジャンル

シリーズ・講座

●最新情報