講座社会学【全16巻】
1 理論と方法 高坂健次・厚東洋輔編
パラダイム・ロストの時代に抗して、気鋭の社会学者がおくる〈社会学の理論と方法〉のグローバル・スタンダード。今日の社会学の主要な潮流を基礎に日本社会分析のフレームワークを提示する。
2 家族 目黒依子・渡辺秀樹編
「近代家族」は経済の発展に貢献したが、その帰結として、個人にとっての家族へと変貌し、家族はその様相を一義的に示し、その姿を鮮明に描くことを困難にさせるほどに多様化した。グローバルな変化を背景に家族の変貌をたどる。
3 村落と地域 蓮見音彦編
経済成長とその失速、国際化・グローバル化の影響を受けて、崩壊の兆しを示すほどに変動する農村の生活と社会に、どのような展望が描けるのだろうか。地域の活性化・住民自治の方向をめざして、開発と都市化のもとでの地域生活の変貌をたどる。
4 都市 奥田道大編
右肩上がりの都市成長・発展路線が失速したいま、グローバル化とローカル化のはざまにあって複雑さをます地域の現実と、このような地域と重層する都市の構想を21世紀システムにむけて読みとく。
5 産業 北川隆吉編
加速する技術革新や国際化がめまぐるしく進む中で、全世界的な社会変動やビッグバンが進行している。日本の産業の構造はどう変化し、どのような未来が描けるか。社会・生活の変動の根源にあるもの、その変動・変容の実態に迫る。
6 労働 稲上 毅・川喜多喬編
1985年プラザ合意後の日本の労働世界の変わりゆく姿を社会学的に描写する。日本の産業社会・雇用・労使関係の構造的個性とその将来像をグローバルな視点の中で明らかにする。
7 文化 宮島 喬編
脱工業化する現代社会で、人々は文化に新たな価値を見いだしている。もともと社会の構造を再生産するものである文化の両義的な状況を現代日本社会のなかで明らかにし、宗教、教育などの在り方を含めて解明する。
8 社会情報 児島和人編
情報化は私たちの日常生活や社会にとってどのような意味を持っているのだろうか。ミクロとマクロ、ローカルとグローバルなど、情報化の多様な実態の全体像と、その根底からの理論的解明にチャレンジする。
9 政治 間場寿一編
「55年体制」とはなんであったか。その成立から崩壊までの過程と、争点としてクローズアップされた諸問題を「権力と参加」の観点から読み解くとともに、ポスト55年体制の政治の動きを展望する。
10 逸脱 宝月 誠編
犯罪の少ない安全な社会という日本神話は正しいのか。企業犯罪・権力犯罪や暴力団など社会の中枢・周辺部の人々の逸脱と統制を手がかりに高度成長社会の陰の面を問う。
11 福祉 直井道子・平岡公一編
社会構造の変化と国民生活の変貌は、生活問題や、その対応としての福祉政策をも大きく転換させてきた。社会の変化と福祉政策の転換の関連を解明し、これからの福祉社会のあり方を構想する。
12 環境 舩橋晴俊・飯島伸子編
環境問題は、地域の問題としても地球規模の問題としても、ますます深刻化しつつある。その構造的解明と解決に、社会学はいかなる貢献が可能か。この10年間に急速に発展した環境社会学の成果をあとづけ、問題解決の方向を探求する。
13 階層 直井 優・藤田英典編
豊かな社会、中流社会、そしていま格差社会といわれている現代日本社会の階層構造とその変動をダイナミックに分析。多年の実証的研究の成果に基づく時系列データと国際比較データを駆使して、日本の階層構造の特質と変化を浮き彫りにする。
14 ジェンダー 鎌田とし子・矢澤澄子・木本喜美子編
働く女性の増大をはじめとして、女性の社会参加は確かに進んでいる。しかしこうした動きは、「男性優位社会日本」に風穴をあけることになるのだろうか。ジェンダーをキーワードとして、日本社会の現実分析に本格的に取り組む。
15 社会運動 矢澤修次郎編
戦後日本社会の社会運動をたどるとともに、情報化・国際化が進み、組織化の進展する現代日本社会における多様な社会運動の様相に具体的に迫り、今日の社会運動の新たな特質と方向を展望する。
16 国際社会 小倉充夫・加納弘勝編
国民国家を前提とした考え方を問い直し、国際関係や諸社会間の関係に注目して社会の構造と変動をとらえる。地域の実証的な研究をふまえて、社会学の新たな課題を検討する。