ウクライナ・ナショナリズム
独立のディレンマ
内容紹介
目次
著者紹介
1991年に独立国となり、ヨーロッパとロシアのあいだで揺れ続ける、旧ソ連の大国ウクライナ。本書は、ウクライナのナショナリズムに焦点を当て、第二次世界大戦からペレストロイカに至る軌跡と独立のプロセスを描き出し、さらには独立後に直面するディレンマを明らかにする。
「本書はウクライナ・ナショナリズムに焦点をあてて、ソ連時代のウクライナにおける民族運動およびロシアとウクライナの関係、そしてソ連解体後の民族関係について検討を加えたものである。…(中略)…ソ連の民族問題を検討することは、地球全体の諸民族の関係を、地球そのものの破壊を招かないような方法で、どのように調整していくべきかについての示唆を与えてくれるものであろう。ナショナリズムとは何であり、どのような力を有し、人びとの生活にどのような影響を与えてきたのかを知ることは、ナショナリズムの世紀が終わろうとしている今こそ真摯に検討されるべきものであろう。」(「はじめに」より)
「ソ連解体の前と後とでは、ロシア・ナショナリズムに一種の質的転換が起こっていることに注目する必要がある。…(中略)…ロシアは追い詰められているというふうに自分たちを感じはじめたので、その反発として再び拡張主義に走る可能性があるのである。その典型的な例はロシアの最高会議が、ウクライナの領土であるクリミア半島のセヴァストーポリ領有を1993年7月に決議したことに示されている。
ロシアが再び大ロシア主義に転じると、旧ソ連地域の民族関係は急速に緊張する可能性が高い。それは、カザフスタン北部やウクライナのドンパス地方のようなロシア人が多く住んでいる地域の「回収」、ロシア連邦の外に住むロシア人の保護を要求する動きにつながる可能性があるからである。」(「おわりに」より)
※本書に関連する「ブックガイド」を公開しています(クリックするとPDFが開きます)。
「本書はウクライナ・ナショナリズムに焦点をあてて、ソ連時代のウクライナにおける民族運動およびロシアとウクライナの関係、そしてソ連解体後の民族関係について検討を加えたものである。…(中略)…ソ連の民族問題を検討することは、地球全体の諸民族の関係を、地球そのものの破壊を招かないような方法で、どのように調整していくべきかについての示唆を与えてくれるものであろう。ナショナリズムとは何であり、どのような力を有し、人びとの生活にどのような影響を与えてきたのかを知ることは、ナショナリズムの世紀が終わろうとしている今こそ真摯に検討されるべきものであろう。」(「はじめに」より)
「ソ連解体の前と後とでは、ロシア・ナショナリズムに一種の質的転換が起こっていることに注目する必要がある。…(中略)…ロシアは追い詰められているというふうに自分たちを感じはじめたので、その反発として再び拡張主義に走る可能性があるのである。その典型的な例はロシアの最高会議が、ウクライナの領土であるクリミア半島のセヴァストーポリ領有を1993年7月に決議したことに示されている。
ロシアが再び大ロシア主義に転じると、旧ソ連地域の民族関係は急速に緊張する可能性が高い。それは、カザフスタン北部やウクライナのドンパス地方のようなロシア人が多く住んでいる地域の「回収」、ロシア連邦の外に住むロシア人の保護を要求する動きにつながる可能性があるからである。」(「おわりに」より)
※本書に関連する「ブックガイド」を公開しています(クリックするとPDFが開きます)。
はじめに――ナショナリズムの現在
第一章 ウクライナ・ナショナリズムの歴史と特質
一 ウクライナ民族運動の系譜
民族運動のタイポロジー
文化運動
政治闘争
ガリツィアとドニエプル・ウクライナ
ペレストロイカ期の特徴
二 ウクライナとロシア――東スラヴのアイデンティティ
「帝国」の喪失
汎ロシア連邦とユーラシア主義
ウクライナとロシアの関係
ウクライナの選択
三 クリミアとオデッサ――多民族性の喪失
多民族のクリミア
クリミアにおける民族関係
ソ連解体後のクリミア問題
オデッサに見る民族の関係
第二章 ウクライナ化を求める運動――六〇年代からペレストロイカへ
一 シェレストとシチェルビツキー――二人の第一書記
「同化派」と「非同化派」
シチェルビツキー
チェルノブイリ以降
歴史の見直し
二 ウクライナ語をめぐる運動――第三のウクライナ化
ウクライナ化の歴史
ウクライナ語をめぐる議論
党の反応
三 ユニエイト教会への道
ユニエイトの「登場」
ユニエイトの歴史
教会再建への道
第三章 独立へ――ソ連からの「退出」
一 主権宣言から独立宣言へ
ペレストロイカの下のウクライナ
主権宣言
新連邦条約
独立宣言
二 ウクライナにおける分離と独立
八月クーデタのインパクト
ウクライナ国内の分離主義
国民投票と大統領選挙
独立と共同体
三 ソ連からの「退出」
第四章 独立のディレンマ
一 CISとウクライナ
CISの成立とウクライナ
ウクライナとロシアの関係
CISとウクライナ
二 独立のディレンマ⑴――権威主義と経済再建
反対派の消滅と権威主義体制の成立
経済問題
クチマ政権の課題
三 独立のディレンマ⑵――国民統合の困難性
「国家」の獲得のあと
国境の複雑さ
東西の分岐
統合の困難性――言語・宗教・地政学
新しい国民の可能性――「ユニエイト」的なるもの
四 独立のディレンマ⑶――ウクライナのゲオポリティカ
「新東欧」の登場
「新封じ込め」
NATOの東方拡大とウクライナ
おわりに――民族関係論への展望
ソ連の解体と民族問題
民族関係論への展望
あとがき
第一章 ウクライナ・ナショナリズムの歴史と特質
一 ウクライナ民族運動の系譜
民族運動のタイポロジー
文化運動
政治闘争
ガリツィアとドニエプル・ウクライナ
ペレストロイカ期の特徴
二 ウクライナとロシア――東スラヴのアイデンティティ
「帝国」の喪失
汎ロシア連邦とユーラシア主義
ウクライナとロシアの関係
ウクライナの選択
三 クリミアとオデッサ――多民族性の喪失
多民族のクリミア
クリミアにおける民族関係
ソ連解体後のクリミア問題
オデッサに見る民族の関係
第二章 ウクライナ化を求める運動――六〇年代からペレストロイカへ
一 シェレストとシチェルビツキー――二人の第一書記
「同化派」と「非同化派」
シチェルビツキー
チェルノブイリ以降
歴史の見直し
二 ウクライナ語をめぐる運動――第三のウクライナ化
ウクライナ化の歴史
ウクライナ語をめぐる議論
党の反応
三 ユニエイト教会への道
ユニエイトの「登場」
ユニエイトの歴史
教会再建への道
第三章 独立へ――ソ連からの「退出」
一 主権宣言から独立宣言へ
ペレストロイカの下のウクライナ
主権宣言
新連邦条約
独立宣言
二 ウクライナにおける分離と独立
八月クーデタのインパクト
ウクライナ国内の分離主義
国民投票と大統領選挙
独立と共同体
三 ソ連からの「退出」
第四章 独立のディレンマ
一 CISとウクライナ
CISの成立とウクライナ
ウクライナとロシアの関係
CISとウクライナ
二 独立のディレンマ⑴――権威主義と経済再建
反対派の消滅と権威主義体制の成立
経済問題
クチマ政権の課題
三 独立のディレンマ⑵――国民統合の困難性
「国家」の獲得のあと
国境の複雑さ
東西の分岐
統合の困難性――言語・宗教・地政学
新しい国民の可能性――「ユニエイト」的なるもの
四 独立のディレンマ⑶――ウクライナのゲオポリティカ
「新東欧」の登場
「新封じ込め」
NATOの東方拡大とウクライナ
おわりに――民族関係論への展望
ソ連の解体と民族問題
民族関係論への展望
あとがき
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