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ルネッサンス史

ISBN978-4-13-021080-5発売日:2015年01月30日判型:A5ページ数:640頁

内容紹介

ルネッサンスは変化と転換の時代であった.その影響は文芸や美術に限らず,むしろいっそう深く,ヨーロッパ社会のすべて,技術,産業,政治,戦争,宗教,あるいは人口動態にいたるまで,社会のあらゆる局面に及んだ.イタリア半島で十三世紀最後の四半期辺りから始まったルネッサンスはその都市国家群が繁栄を謳歌したのち,十六世紀初頭には破綻してしまう.これを引き起こしたのは,もっと大きな政治単位である「国民国家」を形成するのに成功したフランス,スペイン,そしてイギリスの基をなしたイングランドといった勢力で,これらが以後の一世紀あまり,(国家統一に失敗したドイツも含めて)ルネッサンスを展開し,近代の基礎を築いていく――. 中世の終わりにして,近代を見はるかす転換期に直面した人々,そして諸地域の変化を解き明かし,ルネッサンスの全体像を経済,政治,宗教をふまえた斬新な観点で描き出した通史.

著者略歴
東京大学名誉教授/ルネッサンス研究/1934年生れ.71年東京大学文学部助教授(フランス文学).81年同教授(イタリア文学).85年イタリア・ナポリ大学客員教授(日本文学).93年東京大学文学部長.94年在ローマ日本文化会館長.98年政策研究大学院大学副学長などを歴任.主要著書に『イタリア文学史』(共著,東京大学出版会,85年)『落語『死神』の世界』(青蛙房,02年),『モーツアルトはオペラ――歌芝居としての魅力をさぐる』(音楽之友社,06年)など.主要訳書に,ヴィーコ『ヴィーコ自叙伝』(みすず書房,91年),ランペドゥーザ他『南欧怪談三題』(未來社,11年),グゥラート『忘れ去られた王国――落日の麗江・雲南滞在記』(スタイルノート,14年)など. 【推薦の言】 岩倉具忠(京都大学名誉教授) ギリシャ・ローマの古代世界を西欧で再生したのが「ルネッサンス」であるとすれば,日本ではじめてその全体像の構築を試み,「再生」を図ったのが本書である.平易な文体で読者を新たな発見にいざなう力量もまた特筆に値する.ややもすると美術を偏重するきらいのあった従来のルネッサンス像に代わり,その地域と時代による多様性,経済的政治的背景などを詳細に解き明かした功績は,とりわけ高く評価される.

樺山紘一(印刷博物館館長/東京大学名誉教授)
13世紀から16世紀まで,これだけの目配りとバランスを整えたルネッサンス時代史はそうざらにはない.イタリア半島ばかりか,フランス・スペイン・イングランド・ドイツにも大幅に場を与えた.しかも,たんに歴史事象を振りかえるだけでなく,つねに21世紀現在の文明観を前提にして,ルネッサンスの位置と意味を考える.私たちも,襟を正して,この大著に向きあうことにしたい. ジョルジョ・アミトラーノ(イタリア文化会館東京 館長) 西本先生の新著は,「ルネッサンスは変化と転換の時代である」との考え方に立って,ルネッサンスを従来のような文化,芸術偏重で捉えるのではなく,経済,社会,政治的変化もその本質的構成要素として取り込むという座標軸を導入した素晴らしい著作です.ルネッサンスが場所や時代という点でも多様性の社会現象であることを卓越した知見と精緻な分析によって示した本書は,ルネッサンス研究に新たな地平を切り拓くものです. 遠山敦子(元文部科学大臣) このたび長年お付き合いのある西本晃二先生が本格的な「ルネッサンス論」を纏められた.仏文学・イタリア文学をきわめ,東大教授からローマの日本文化会館長のほか,持ち前の才気と面倒見の良さから請われて様々な仕事に追われて来られた先生が,多年の研鑽の成果をもとに日本初の体系的なルネッサンス論を完成された.イタリアに始まりアルプスをこえ仏,西,英,独へと拡がったルネッサンスが単に芸術文化の文芸復興ではなく,経済,政治,技術,社会と連動する地域性をもち,多様でダイナミックな歴史現象であることを精緻に論述された.西欧の知識人にも読んで欲しい画期的な名著である.

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主要目次

まえがき
はじめに

第I部 イタリア半島
序章 イタリア半島のルネッサンス
第1章 自治都市の誕生(一二六〇年代~一三〇二年)
 第1節 海運都市――基本条件
 第2節 内陸都市――その抱える問題
 第3節 教皇庁ローマと南イタリアのナポリ――特殊性
第2章 都市国家への発展(一三〇二~四八年)
 第1節 海運都市――勝ち残った二強
 第2節 内陸都市――半島中部と北部の差
 第3節 教皇庁ローマと南イタリアのナポリ――停滞
第3章 都市国家の成熟(一三四八~一四二〇年)
 第1節 イタリア半島をめぐる特殊な状況
 第2節 海運都市――地中海の女王ヴェネツィア
 第3節 内陸都市――フィレンツェとミラーノ
 第4節 教皇庁ローマと南イタリアのナポリ――復活
第4章 地域国家による情勢の固定化(一四二〇~九四年)
 第1節 海運都市――ヴェネツィアの内陸志向
 第2節 内陸都市――地域国家に向けて
 第3節 教皇庁ローマと南イタリアのナポリ――隆盛
第5章 半島ルネッサンスの崩壊(一四九四~一五二七年)
 第1節 シャルル八世の半島侵入
 第2節 シャルル八世南下の波紋
 第3節 ルイ十二世の半島侵入
 第4節 半島ルネッサンスの最終章

第II部 アルプス以北の諸国
序 章 アルプス以北のルネッサンス
第1章 フランスのルネッサンス(一四九四~一六一〇年)
 第1節 イタリア戦役
 第2節 宗教戦争
第2章 スペインのルネッサンス(一四九二~一六一七年)
 第1節 世界帝国の夢
 第2節 スペインの隆盛と凋落
第3章 イングランドのルネッサンス(一五〇九~一六一六年)
 第1節 ルネッサンスへの助走
 第2節 教会分離問題
 第3節 国力の充実,精神の解放
第4章 ドイツのルネッサンス(一四九四~一五二五年)
 第1節 ルネッサンスの諸条件
 第2節 北方ルネッサンスの胎動
 第3節 宗教改革運動の展開

むすび
あとがき

系図/年表/図版出典一覧/参考文献/事項索引/作品索引/人名索引

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