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幸福と仁愛

生の自己実現と他者の地平

ISBN978-4-13-010115-8発売日:2015年09月16日判型:A5ページ数:312頁

内容紹介

個人の幸福の追求は,他者の幸福の追求と,また公共的なるものと,どう関連するのか――古くからヨーロッパで問われてきた課題にドイツの碩学が正面から取り組む.仁愛を鍵概念にしてアリストテレスとカントの対立を突破し,「責任」や「赦し」などの現代的テーマにも応えようとする壮大な企て. Robert Spaemann, Glueck und Wohlwollen : Versuch ueber Ethik, Stuttgart (Klett-Cotta),1989の抄訳.

主要目次

監訳者はしがき(山脇直司)
日本語版への序言(ローベルト・シュペーマン)
序文
第一部 古典的倫理学の基本テーマ――幸福
第1章 生の自己実現に関する思想としての倫理学
第2章 エウダイモニアと快楽主義
 I エウダイモニアという地平
 II 〈目的そのもの〉としての快楽
 III 快楽主義の矛盾
第3章 自己保存あるいはストア派の倫理
 I 自己保存理論の変遷
 II 自己保存理論における生の自己実現
第4章 アリストテレス的妥協
 I アリストテレス的な自己実現と規範性――善い法
 II 哲学的観想による自己実現

第二部 古典的倫理学から近代的倫理学へ――そのキー概念としての仁愛
第5章 道徳領域の分化
 I 絶対的幸福と人間的幸福の分離
 II 幸福と道徳の分離  
 III 道徳と宗教の分離 
第6章 理性と生命                         
 I 幸福と自己満足の超出
 II 生命の自己超越(正義と愛)と共同的喜び 
第7章 仁愛――存在者の存在の知覚・覚得
 I 身近な目的と究極目的(自己) 
 II 人格と仁愛の心からの愛 
 III 仁愛に顕現する存在者の「自己存在」 
 IV 仁愛と生命への援助
第8章 愛の秩序――他者の地平                         
 I 仁愛の有限性と愛の秩序 
 II 愛の秩序と「近さ」の発生
 III 愛の秩序と現実経験
 IV 人間以外のものとの愛の秩序

第三部 現代倫理思想との対峙
第9章 帰結主義                       
 I 功利主義・帰結主義の企図
 II 帰結主義の困難――理論的視点(神の知)から 
 III 帰結主義による人間への過大要求と過小要求――実践的視点から
第10章 討 議                         
 I 討議倫理学の企図
 II 討議成立のための三条件
 III 討議の限界
 IV 討議が前提として必要とするもの
第11章 システム論と倫理                        
 I 行為理解の現代的危機
 II 行為・自由とシステム理論・全体論 
第12章 規範性(ノモス)と自然性(ピュシス)                  
 I ピュシス論から機械論へ              
 II 衝動・理性・ピュシスの目的 
 III 人格が実現するとき

第四部 現代倫理思想の課題
第13章 責 任                          
 I 責任ある関わり合いとはどのようなものか
 II 動物に対する責任は人間が負う――責任の対象物と責任の受取人
 III 「固有性の秩序」と間人格性
 IV 条件なき責任としての人間的行為
第14章 赦し――他者との共生                        
 I 有限な存在を赦すこと――存在論的な赦し 
 II 人格の目覚め――倫理的な赦し
 III 復讐としての報いから癒しとしての報いへ――有罪者をいかに赦すか
 IV 自己の有限性――自分自身に対する赦し

解題
1 シュペーマンの哲学思想――その全体像(山脇直司)
2 シュペーマン倫理学を貫くもの――存在・ペルソナ・協働態(宮本久雄)
監訳者あとがき(宮本久雄)

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