科学技術社会論の挑戦2 科学技術と社会  (冊子版)

具体的課題群

冊子版 電子書籍
著者
藤垣 裕子 責任編集
小林 傳司 協力編集
塚原 修一 協力編集
平田 光司 協力編集
中島 秀人 協力編集
ジャンル
自然科学
自然科学  > 一般
シリーズ
科学技術社会論の挑戦
発売日
2020/07/29
ISBN
978-4-13-064312-2
判型・ページ数
A5 ・ 264ページ
定価
3,850円(本体3,500円+税)
在庫
在庫あり
内容紹介
目次
著者紹介
現代の日本が抱える課題群は、科学技術を抜きに語れないと同時に、それだけでは解決できない社会の諸側面も考慮する必要がある。さまざまな分野と関連するSTS研究を、個別具体的な課題(メディア、教育、法、ジェンダーなど)ごとに解説し、その広がりを示す。
刊行にあたって(藤垣裕子)
はじめに(藤垣裕子)

第1章 科学コミュニケーション(杉山滋郎)
     1.科学コミュニケーションとは
     2.日本における科学コミュニケーションの歴史
      2.1 「理解増進活動」のスタート
      2.2 科学コミュニケーションに生じた転換
      2.3 「3.11」を経て
     3.参加型科学コミュニケーションへの取り組み
      3.1 コンセンサス会議
      3.2 世界市民会議(WWViews)
      3.3 討論型世論調査(DP)
      3.4 リスクコミュニケーション
     4.参加型コミュニケーションにおける課題
      4.1 サイエンスカフェをめぐって
      4.2 政策との接続をめぐって
      4.3 情報提供資料をめぐって
      4.4 討論型世論調査をめぐって
      4.5 「欠如モデル」をめぐって
     5. さらに視野を広げて
      5.1 多様な「参加」
      5.2 期待の社会学
      5.3 行動経済学からの刺激
      5.4 科学者の社会的責任
      5.5 「論ずべき問題」
      5.6 現場に密着した実践や研究の重要性
     6.おわりに――国際貢献できる科学コミュニケーションを目指して

第2章 科学とメディア(田中幹人)
     1.「科学とメディア」の科学技術社会論
     2.「科学のメディア化」の時代
     3.ハイブリッド・メディア時代の科学
      3.1 ウェブがもたらした変化
      3.2 小括――車輪の再発明を越えて
     4.おわりに――これからの科学‐メディア研究に向けて

第3章 科学と教育(笠 潤平)
     1.理科教育とSTS研究
     2.戦後科学教育史の展開のなかでの「STS教育」運動の登場とその意味
      2.1 「STS教育」に単一の定義はないとされる
      2.2 「STS教育」登場前史――科学教育の黄金時代
      2.3 時代の変化
      2.4 「STS教育」時代――1970年代半ば~80年代の英国科学教育の動向
      2.5 英国のSTS教育運動の特徴
      2.6 「STS教育」時代――1970年代半ば~80年代の米国科学教育の動向
     3.科学的リテラシー論
      3.1 1990年代以降の科学的リテラシー論の興隆
      3.2 米国における科学(的)リテラシー論の変化
      3.3 スタンダード運動
      3.4 英国の科学教育改革――市民の科学的リテラシーのための中等科学教育コース
     4.わが国の理科教育の課題
      4.1 学習指導要領
      4.2 今次の指導要領改訂に際して欠如したもの
      4.3 日本学術会議「科学技術の智プロジェクト」
     5.議論と今後の課題
      5.1 急速な科学・技術の発展と科学教育の課題
      5.2 具体的な課題
   
第4章 法と科学(平田光司)
     1.法と法廷,科学と技術
     2.事実と心証
      2.1 事実の認定――心証
      2.2 ベイズ意思決定論
      2.3 心証確立点の存在
     3.証拠,データ,事実
      3.1 鑑定のジレンマ
      3.2 事実の客観化と「標準化」
      3.3 ド-バート基準
      3.4 ルンバール判決
      3.5 事実をめぐる神々の戦い
     4.法の適用――包摂と法創造
     5.熟議と裁判
      5.1 対審構造
      5.2 コンカレント・エビデンス(同時証言方式)
     6.おわりに
 
第5章 科学とジェンダー(小川眞里子)
     1.「科学とジェンダー」とは
     2.「科学」と「ジェンダー」が結び付く
     3.闘う女性科学者――ヨーロッパの動きを中心に
     4.サイエンス・ウォーズを乗り越えて
     5.米国,EU,日本の話題から
     6.性差研究に基づく技術革新
     7.おわりに

第6章 リスク論(神里達博)
     1.発端は「原子力」   
     2.「リスク」と「確率」
      2.1 “risk”の淵源
      2.2 確率論のはじまり
      2.3 確立とリスクの多義性
     3.放射能の健康影響とリスク
      3.1 放射線・放射能の発見
      3.2 確定的影響とLNT
      3.3 「許容しうる」リスク
     4.原子力発電所のリスク評価
      4.1 確率論的リスク評価
      4.2 ラスムッセン報告とTMI-2事故
      4.3 PRAの問題点
     5.おわりに
 
第7章 テクノロジーアセスメント(三上直之)
     1.TAとは何か
     2.TA小史
      2.1 米国議会技術評価局(OTA)
      2.2 欧州への伝播と展開
      2.3 日本における動き
     3.科学技術への市民参加とTA
      3.1 欧州における動向
      3.2 日本における展開①――コンセンサス会議の導入
      3.3 日本における展開②――実用段階と研究開発の多角化
      3.4 日本における展開③――原子力発電所事故とエネルギー・環境DP
     4.今後の課題

第8章 原子力と社会――「政策の構造的無知」にどう切り込むか(寿楽浩太)
     1.原子力とSTS――その浅からぬ関わり
     2.原子力事故の核心にどう迫るのか――社会科学からのアプローチ
      2.1 「通常事故」としての原子力事故
      2.2 米国における原子力の「立て直し」と改良主義
      2.3 社会科学的批判性の揺らぎ 
     3.原子力発電利用の日本的展開とSTSの関わり
      3.1 前史――原子力推進体制の内部構造論
      3.2 日本の「STS」と原子力の出会い――市民参加論という接点
      3.3 市民参加論からコミュニケーション論へ
      3.4 福島原発事故と日本のSTSの挫折
     4.原子力のSTSの今後に向けて
      4.1 再燃する技術決定論とSTSの射程
      4.2 「政策の構造的無知」を聞いて見せる――STSの批判性を取り戻すために
 
第9章 気候工学の技術哲学(桑田 学)
     1.問題の所在
     2.気候変動対策における気候工学の位置
     3.技術の道徳性
     4.気候工学の正当化論の倒錯
     5.気候工学はガバナンス可能な技術か
     6.結論

第10章 生命倫理(廣野喜幸)
     1.生命倫理学の地平
     2.倫理システム
      2.1 生命倫理と医療倫理
      2.2 生命倫理システムの成立
      2.3 医療倫理システムの危機
      2.4 米国における生命倫理システムの成立――モード2的仕掛けの内蔵
     3.生命倫理システムの諸課題
      3.1 期待外れの生命倫理
      3.2 商業化・コンサルタント化・ファーストフード店化
      3.3 「医療化」,モード1とモード2の相克
     4.倫理コード=委員会システムの再構築へ向けて

第11章 再生医療をめぐる「科学と社会」(標葉隆馬)
     1.社会のなかの幹細胞・再生医療研究
     2.幹細胞・再生医療研究をめぐる倫理的・法的・社会的課題(ELSI)
     3.メディア報道における幹細胞・再生医療――幹細胞Hypeと周辺化する「倫理問題」
     4.再生医療をめぐるコミュニケーション
     5.おわりに
 
第12章 AIと社会(江間有沙)
     1.AIとは何か
      1.1 研究分野としてのAI
      1.2 技術,科学,哲学としてのAI
      1.3 まだ見ぬAIを求めて
      1.4 本章の視点
     2.AIと社会の関係――STS的観点から
      2.1 根深い技術決定論
      2.2 バウンダリーオブジェクトとしてのAI
      2.3 研究者の社会的責任
      2.4 公平性をめぐる議論と民主主義
      2.5 ユーザ研究と社会構造
     3.AIを題材とした議論
      3.1 科学計量学――分析ツールとしてのAI
      3.2 科学史・科学社会学――なぜブームを繰り返すのか
      3.3 科学コミュニケーション――対話の場と政策提言
      3.4 科学技術政策――ガバナンスをめぐる議論
     4.おわりに――STS研究者としての役割と責任  
      4.1 研究者かつ実践者
      4.2 鏡としての人工知能


The Challenge of STS (Science and Technology Studies / Science, Technology and Society) Vol.2
Case Studies
Yuko FUJIGAKI, Editor
藤垣 裕子
東京大学大学院総合文化研究科教授
小林 傳司
大阪大学名誉教授/JST社会技術研究開発センター上席フェロー
塚原 修一
関西国際大学教育学部客員教授
平田 光司
高エネルギー加速器研究機構特別教授
中島 秀人
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授
科学技術社会論の挑戦2 科学技術と社会 
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