イメージの記憶(イメージのかげ)

危機のしるし

著者
田中 純
ジャンル
人文科学  > 哲学・思想・倫理
発売日
2022/05/02
ISBN
978-4-13-010152-3
判型・ページ数
四六 ・ 360ページ
定価
4,730円(本体4,300円+税)
在庫
在庫あり
内容紹介
目次
著者紹介
世界に溢れ続けるイメージは喫緊の思想的・文化的テーマである。像=イメージを行為主体と捉えるブレーデカンプによる像行為論の可能性を検討しつつ、独自の「像即是空、空即是像」たる「かげ」としての論理へと至る最新論集。


I 行為する像(イメージ)
 第1章 創像された怪物の解剖学──像行為論の射程
 第2章 握斧(ハンドアックス)の像行為──起源/根源のメイキング
 第3章 不死のテクノロジーとしての芸術──生政治のインスタレーション
 第4章 物質論的人文知(ヒューマニティーズ)としての考古学
      ──同時代への退行的発掘
  1 新石器時代の終わり?
  2 野生の考古学
  3 考古学的物質性
  4 野生の考古学と歴史経験
  5 アーカイヴという発掘現場
  6 人文知の先立未来 
 第5章 死者の像の宛先──スーザン・ソンタグの亡骸

II 『ムネモシュネ・アトラス』を継ぐ
 第1章 モンタージュ/パラタクシス──パラダイム転換のために
  1 イメージによる歴史叙述の「リアリズム」
  2 テオ・アンゲロプロスの映画における空舞台 
  3 マックス・エルンスト《主の寝室》の皮膚
  4 「歴史の地震計」のヘテロトピア
 第2章 フィールドノートという自伝──霊たちのためのドローイング
 第3章 見えない瓦礫を投げる──蜂起の身振り
 第4章 歴史のゴースト・プラン──宇佐美圭司の絵画論をめぐって
 第5章 心理歴史的地図からイメージ記憶の散歩へ
      ──『ムネモシュネ・アトラス』再考
 第6章 夜の共同体へ──パスカル・キニャールに

III ホロコースト表象の現在
 第1章 ホロコースト表象の転換点──『サウルの息子』の触感的(ハプティック)経験
  1 迷宮と化す映像空間 
  2 「黒」からの脱出  
  3 「子供の死」というトポス  
  4 触感的(ハプティック)な歴史叙述としての映画 
 第2章 それ(エス)の地下室(クリプト)──ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ》
 第3章 生と死のシンメトリー──セルゲイ・ロズニツァ『アウステルリッツ』

IV 建築的想像力の神話学
 第1章 巨人と小人の無垢──ベンヤミンと冥府の建築家たち
 第2章 魔術的洞窟──キースラーのシャーマニズム
 第3章 死の女神としての家──「三匹の子ブタ」異聞
 第4章 白い錯乱──ル・コルビュジエの「最初の絵画」
 第5章 デミウルゴスのかたり──磯崎新の土星(サトゥルヌス)的仮面劇
  1 異形の双面神(ヤヌス)
  2 都市破壊業からもうひとつのユートピアへ
  3 サトゥルヌスとしてのデミウルゴス
  4 黒い翁の流言

V 危機のしるし
 第1章 『シン・ゴジラ』の怪物的しるし──未来からの映画
  1 「覚醒」という出来事  
  2  テクノロジーの時代のレヴィヤタン  
  3 「ゴジラ」という名の影  
  4 「喩」を喰い破る「怪物」  
  5 怪物・彗星・しるし  
 第2章 トランプ/ネロ/ペルセウス──斬首された自由
 第3章 ウンブラル──パンデミック下の「歴史の閾」
 第4章 生の弱さの底に降りて行く──カミュ『ペスト』に寄せて
  1 敗者による歴史叙述としての「ペスト」
  2 言葉への誠実さ(l'honnêteté)
  3 生の脆弱さに沈潜する 
 第5章 イコノクラスムの彼方へ──像なき時代を創像する
 第6章 無の色気──デヴィッド・ボウイから世阿弥へ

結 論 「かげ」なる像の「うつろひ」へ向けて
  1 技術的創像の時代のアートとサイエンス
  2 パラタクシスのリアリズム
  3 ホロコーストの創像的歴史叙述と建築の根源(アルケー)
  4 しるしと謎
  5 「かげ」の「うつろひ」
田中 純
東京大学大学院総合文化研究科教授
イメージの記憶(イメージのかげ)
ご注文
Amazon
紀伊國屋書店ウェブストア
セブンネットショッピング
e-hon 全国書店ネットワーク
楽天ブックス
Honya Club.com
TSUTAYA オンラインショッピング
HMV&BOOKS online
ヨドバシ.com