公共哲学[全10巻]

※公共哲学シリーズは全3期20巻から構成されています.第2期第3期の紹介ページもぜひご覧ください.

第1巻 公と私の思想史

〈発題者〉佐々木毅/福田歓一/溝口雄三/板垣雄三/渡辺浩/奈良毅ほか.

第2巻 公と私の社会科学

〈発題者〉福田歓一/今田高俊/間宮陽介/佐々木毅ほか

第3巻 日本における公と私

〈発題者〉黒住真/水林彪/小路田泰直/東島誠/斎藤純一/井上達夫/阿部潔/源了圓/稲垣和久ほか

第4巻 欧米における公と私

〈発題者〉小林正弥/田中秀夫/川出良枝/三島憲一/紙谷雅子/宮島喬ほか

第5巻 国家と人間と公共性

〈発題者〉佐々木毅/坂本多加雄/加藤哲郎/杉田敦/中山道子/千葉眞/佐伯啓思/姜尚中/金泰昌ほか

第6巻 経済からみた公私問題

〈発題者〉鈴村興太郎/猪木武徳/本間正明/金子勝ほか

第7巻 中間集団が開く公共性

〈発題者〉今田高俊/長谷川公一/金子勇/塩原勉/佐藤慶幸/鳥越皓之/安立清史ほか

第8巻 科学技術と公共性

〈発題者〉佐藤文隆/柴田治呂/岸輝雄/中村収三/軽部征夫/加藤尚武/村上陽一郎/武部啓/相田義明ほか

第9巻 地球環境と公共性

〈発題者〉宇井純/石弘之/宇沢弘文/原田憲一/近藤豊/森蔦昭夫/鬼頭秀一/米本昌平/桑子敏雄ほか

第10巻 21世紀公共哲学の地平

〈執筆者〉山脇直司/黒住真/苅部直/三谷太一郎/小林正弥/長谷川晃/金原恭子/塩野谷祐一/後藤玲子/八木紀一郎/足立幸男/藪野祐三/曽根泰教/小林傳司/矢崎勝彦/金泰昌



刊行にあたって

「滅私奉公」が叫ばれた過去の時代を経て,今,公共性の解体や復権が論じられている.しかしその際,「公」は依然として国家と結びついて考えられることが多い.このような趨勢に対し,個(一人一人の人間・国民・市民)が私を活かしつつ(否定せず)公を開くという道が可能だとしたら,一体何が求められるだろうか.
 本シリーズは,こうした関心のもと,30回余にわたって開かれた公共哲学共同研究会(将来世代国際財団・将来世代総合研究所協同主催)の成果のエッセンスを編集し,世に問うものである.
 この共同研究会は,「既成の公私関係についての概念や解釈を,現代社会の直面する諸問題や将来世代への配慮という観点から再検討すること」を目的として催されてきた.そこでは,さまざまな公私問題を取り上げて検討すると同時に,公私問題を認識する枠組みそのものをも問い直すことが意図されている.それと同時に,学問の研究分野内に蓄積された専門知を相互に突き合わせながら,専門分野の壁を突破して,より相互連関的な把握と理解が生まれるような討論がなされている.端的に言えば,生活世界のさまざまな問題を公私関係という観点からとらえ直すこと,同時に世界認識そのものを問い直し公共知を形成すること,この二つを目的に,従来のシリーズにみられがちなモノローグ的方法(単独思考の一方発信)ではなく,ホットな論争をも含む対話的方法(他者間対話を通しての知識共創=公共知の共同産出)によってアプローチするのが,本シリーズの意図である.
本シリーズは,以下の点に留意しつつ編集された.
 1.公共性を,個を殺して公に仕える「滅私奉公」のような見方ではなく,個が私を活かして公を開く「活私開公」という見方でとらえる.
 2.従来の「公」と「私」という二元論ではなく,「公」と「私」を媒介する論理として公共性を考える.
 3.公共性の担い手について,国家が独占するという観点よりは,市民や中間団体の役割を重視するという観点から議論を進める.
 4.グローカル(グローバルかつローカル)なレベルでの公共性について積極的に考慮する.
 本シリーズは,以上の観点を取り込みながら,人文社会科学のみならず,自然科学の領域にもわたる多元相関的な問題意識に基づいた21世紀の公共哲学のビジョンを提示している.この成果を出発点として,多くの人々が新たな時代を切り開くために生かしていただければ,我々のこの上ない喜びである.

編者 佐々木毅・金泰昌
編集委員 今田高俊・宇井純・黒住真・小林正弥・佐藤文隆・鈴村興太郎・山脇直司