UT Physics

本シリーズの特色
・基礎から最先端の話題まで,物理学のさまざまな分野をわかりやすく紹介.
・東京大学のスタッフを中心とした,第一線研究者による書き下ろし.
・大学1,2年生程度の基礎知識で読める明快な解説.


第1巻 ものの大きさ  須藤 靖[東京大学大学院理学系研究科教授]

最新の天文学的観測によって,私たちの身のまわりにある「通常の物質」は,宇宙のわずか4%を占める存在でしかないことが明らかにされた.では残りの96%は何か,さらに人間の存在は,偶然なのか,必然なのか――古代の宇宙論から最先端の話題まで,魅力あふれる物理の世界をユニークな視点で描く.

第2巻 Dブレーン  橋本幸士[東京大学大学院総合文化研究科助手]

私たちの身体は膜でできている!? 大きな魅力と柔軟な応用性をもち,これまでの固定観念をくつがえすべく,物理学の新しい扉を開くDブレーン.すべての素粒子と力の相互作用を統一する究極理論の完成をめざし最先端の分野で活躍する著者が,生き生きと語る.

第3巻 一般相対論の世界を探る  柴田 大[東京大学大学院総合文化研究科助教授]

超巨大ブラックホールを創る――星の合体,ブラックホールの誕生など,一般相対論の特徴が顕著に現れる宇宙現象.重力波を使った現象の観測,数値シュミレーションによる理論的探求など,研究の最前線を鮮やかに描く.

第4巻 銀河進化の謎  嶋作一大[東京大学大学院理学系研究科准教授]

宇宙が誕生してから約140億年.現在,私たちはその歴史の95パーセントをたどることができる.銀河はどのように進化してきたのか? そしてその正体とは? 宇宙に初めてふれる人でも楽しく読めるよう,記述を工夫.銀河の写真をちりばめ,その魅力あふれる世界に読者を誘う.

第5巻 見えないものをみる  長谷川修司[東京大学大学院理学系研究科准教授]

シュレーディンガー方程式を目で見る――量子力学の性質を利用したさまざまな実験について,ていねいに解説.電子の波動関数や電流が流れる様子を撮した写真なども豊富に掲載する.抽象的な世界を体感してみよう.

第6巻 宇宙137億年解読  吉田直紀[東京大学数物連携宇宙研究機構特任准教授]

絶えず進化を続ける宇宙のなかで,何億光年にもわたる大規模構造,そして星や銀河はどのように形成されていったのだろうか? また宇宙の将来はどうなるのか? 観測写真やコンピューターシミュレーションが,宇宙137億年の歴史と未来へ読者を誘う.



これからの刊行予定書目(タイトル仮)
・小形正男『低次元強相関電子系の物理』
・藤森 淳『放射光で物質の電子状態をみる』
・江口 徹・菅野浩明『弦理論と現代数学』
・鈴木洋一郎『ニュートリノ振動』
・菊川芳夫『クォークの閉じ込めに挑む』
・佐々真一『ゆらぎ:非平衡論における発展』
・好村滋行『ソフトマターの物理』


シリーズ刊行にあたって

 物理学とはどのような学問なのか,物理学の最先端ではどのような研究がおこなわれているのか―― 「UT Physics」は,物理学のさまざまな分野の魅力をわかりやすく紹介・解説するシリーズである.編集委員をはじめ,東京大学の教員を中心として東京大学出版会から刊行されるという意味合いをこめて「UT (University of Tokyo) Physics」と命名した.堅苦しい教科書的なものではなく,さりとて,単に雰囲気を伝えるだけに終わることは避け,論理の筋道が明確に追える,読み応えのある内容を目指している.また講座形式ではなく,1冊ごとに完全に独立して読めるようになっている.
 対象とする読者は,大学1, 2年生以上の理工系学生,大学院生,研究者などで,最先端の話題でも,基本的には大学の基礎物理学程度の知識があれば読めるよう工夫している.若い世代の方々が物理学への好奇心をかきたてられるような,そして,研究者の方々には他分野ではどのような研究が進行中であり,何が重要なコンセプトとして考えられているのかという学際的な興味が湧くようなシリーズにしたいと願っている.したがって,テーマの幅も,基礎的なものから最先端の話題まで,魅力あるものを広くとりあげていく予定である.
 物理学というものは,知れば知るほど,その奥深さがみえてくると同時にさらなる知的興味を駆り立てられる学問である.本シリーズを通じて,この楽しみを物理学者にとどまらず,広い読者の方々と少しでも共有できれば,編集委員としてこれに勝る喜びはない.

[編集委員] 青木秀夫,風間洋一,佐野雅己,須藤 靖

各巻詳細

第1巻 ものの大きさ

 1 科学をする心
 2 微視的世界の階層
 3 宇宙の階層
 4 微視的世界と巨視的世界をつなぐ
 5 宇宙の組成
 6 人間原理
 7 宇宙論の進化
 付録 大きな数と小さな数

第2巻 Dブレーン

 0 素粒子,弦,そしてDブレーンへ
 1 ソリトンと素粒子物理学
 2 ソリトンの次元,弦理論の次元
 3 Dブレーン
 4 Dブレーンの力学
 5 ブレーンワールド(応用I)
 6 高次元インフレーション宇宙論(応用II)
 7 ブラックホールのエントロピー(応用III)
 8 ホログラフィーとQCD(応用IV)
 9 究極理論の記述に向けて

第3巻 一般相対論の世界を探る

 0 一般相対論と宇宙物理学
 1 一般相対論的天体とこれまでの観測
 2 重力波による天文学
 3 重力波の理論
 4 重力波源
 5 一般相対論における初期値問題の定式化
 6 数値相対論
 7 コンピュータで探る一般相対論の世界

第4巻 銀河進化の謎

 1 銀河宇宙
 2 なぜ遠くの銀河を調べるのか
 3 銀河は規則的であり多様である
 4 銀河の集団と大規模構造
 5 宇宙と銀河の歴史
 6 遠方銀河の観測法
 7 遠方銀河の世界
 8 最果ての銀河
 9 未来に向かって

第5巻 見えないものをみる

 1 ナノワールドを観る
 2 電子の粒子性と波動性を観る
 3 電子波の位相で観る
 4 トンネルする電子で観る
 5 光子と衝突した電子で観る
 6 「見る」を超えて

第6巻 宇宙137億年解読

 1 宇宙の構造と進化の歴史
 2 コンピューター上の仮想宇宙
 3 宇宙の大構造
 4 暗黒の96パーセント
 5 宇宙創成最初の10億年
 6 光り輝く銀河宇宙の誕生
 7 宇宙の将来
 8 究極のシミュレーション