ワークショップと学び[全3巻]

本シリーズの特長
●まなびほぐしをキーワードに,学習の本質を問い直すための新たなまなびの学を提案.
●ワークショップをまなびほぐし/アンラーンの視点から捉え直す初めてのシリーズ.
●ワークショップを現場で実践する識者の経験的知見や手法を紹介.
●より良いワークショップ実践のための総合的な手引書.
●まなびほぐしとワークショップを理論的,歴史的に考察する第1巻,地域,企業,学校で行われているさまざまな実例を探る第2巻,ワークショップ実践のための知見や評価ツールを紹介する第3巻でシリーズを構成.


第1巻 まなびを学ぶ

 本巻は,シリーズ全体の総論として,学習の問い直しとしてのまなびほぐしに着目し,その実践の場としてのワークショップの可能性を理論的,歴史的に跡づけ,新たなまなびの学を展望する.
 第I部では,形骸化する学びを解きほぐす場としてのワークショップが私たちの内外にある諸前提に対する視座転換の機会であることを論じる.
 第II部では,まなび学とその実践の場であるワークショップについて,教育学,社会学,芸術学の視点から,その課題と潜在的な可能性を明らかにするとともに日本におけるワークショップ実践の歴史をたどり,その普及が沈滞していく様から本来あるべき姿を逆照射する.

第2巻 場づくりとしてのまなび

 本巻では,「地域社会」「企業」「学校」の現場で行われているさまざまなワークショップ事例を題材に,そこで生起するまなびほぐしの可能性を考察する.  第I部では,学校と企業も含む地域社会を活性化する実践である「地縁型ネットワーク」での取り組みを議論する.
 第II部では,企業でのワークショップ実践を,人材育成と社会貢献という異なった視点から考察する.
 第III部では,小学校や特別支援学校で取り組まれているワークショップと,学校支援に取り組むアーティストの実践を議論する.
 地域社会,企業,学校という既成の枠組みを組み替えるまなびほぐしの具体像を探っていく.

第3巻 まなびほぐしのデザイン

 本巻では,まなびほぐしの機会となるワークショップを実践するために,実際のワークショップの知見を紹介し,その研究・評価の方法を考察する.
 第I部では,ワークショップの準備,運営,ファシリテーション,空間デザインをより良く実践するための具体的な知見を紹介する.
 第II部では,これまで評価が難しかったワークショップの動的プロセスを検証するための分析ツールを紹介し,その効用を提示する.
 ワークショップのまなびとはワークショップ自体の不断の更新であり,まなびのデザインの方法論自体がまなびほぐしの考え方と密接に結びついていることを明らかにする.



シリーズ刊行にあたって

 わたしたちは多くを「学んで(“学習”して)」きているが,そのなかのかなりは「まなびほぐす」必要があるのではないだろうか.
 たとえば,知識は「与えられて」得るものだと思いこまされてはいないだろうか.あるいは,勉強は「遊び」の反対語だとみなしていないだろうか.人が何をどう学ぶべきかについてはどこかで「きまっている」ことだとしてはいないだろうか.
 わたしたちは多くを「(いつのまにか)学んでしまっている」が,よく考えると,必ずしも正しいことだと言えないことがずいぶんあるように思われる.そのかなりの部分は,学習が「学校」という制度の枠に縛られて営まれてきたことに由来している.
 わたしたちがここで「まなび学」とよぶことは,そういう「学んでしまってきていること」を振り返り,それを「まなびほぐす(アンラーンする)」ことによって,あらためて,ほんとうの「まなび」とはどういうものなのかについて考え直そうという営みをさしている.本シリーズは,そのような「まなび学」の考え方を明らかにするとともに,「まなび学」の実践としての「ワークショップ」の可能性を探究するものである.(中略)
 ワークショップというのは,一言で言えば,「“異”との出合い」である.ふだんと「ちょっと違う」場で,「ちょっと違う」人たちと出会ったり,「ちょっと違う」活動をともにしたりする.当たり前に思っていることが「ちょっと違う」ことに気づいたり,「ちょっと違う」考え方,生き方があることを知る.自分の中で「勝手に作り上げていた」“あたりまえ”が,ほんとうに「あたりまえ」だったのか,もっとホントのことがあることに目をつぶっていたのではないか……そんなことに気づかされる.また,“異”との出合いは,新しい出合いにむけての勇気を生み出す.互いがみんな「ちょっと違う」からこそ,そこに新しい“つながり”ができて,これまで予想もしなかった大切なことを,「思わず」互いに学べる仲間がつくれるのだ.こういうワークショップのあり方をさぐり,その意味を考え,現代における「まなびほぐし」の実践を,ワークショップを通して創り出そうというのが本シリーズのねらいである.(中略)
 本シリーズは,「まなび学」という新しい学習論の構築を提言すると同時に,その理論的・実践的場としてのワークショップについてのこれまでの研究と実践を総括したものであり,これからワークショップをはじめる人たちへの「入門」(いざない,手ほどき)となることも期待している.

編者一同        


各巻詳細

第1巻 まなびを学ぶ

シリーズ刊行にあたって
イントロダクション:ワークショップの現在(苅宿俊文・青山学院大学)
第I部 まなび学のキー・コンセプト
 第1章 「まなびほぐし(アンランーン)」のすすめ(佐伯 胖・青山学院大学)
 第2章 まなびほぐしの現場としてのワークショップ(苅宿俊文)
 第3章 「まなびの凝り」と「まなびほぐし」――「転倒しつつある場」としてのワークショップの可能性に向けて(高木光太郎・青山学院大学)
第II部 まなび学のひろがり
 第4章 まなびとワークショップの社会学(宮台真司・首都大学東京)
 第5章 アートの公共空間を創発する――プラグマティズムのまなび学へ(上野正道・大東文化大学)
 第6章 教えなければならないことは,何もない(平田オリザ・劇作家,大阪大学)
 第7章 昭和二二年のワークショップ(苅宿俊文)


第2巻 場づくりとしてのまなび

シリーズ刊行にあたって
イントロダクション:場づくりとしてのまなび(苅宿俊文)
第I部 地域社会の教育とワークショップ
 第1章 地縁型ネットワークと居場所づくり――地域コーディネーターによるコミュニティの再生(植村朋弘・多摩美術大学)
 第2章 アートが学校や地域を変える――「芸術家と子どもたち」のASIASの活動などを中心に(茂木一司・群馬大学)
 第3章 地域に根づくということとワークショップ(苅宿俊文)
第II部 企業の活動とワークショップ
 第4章 企業とワークショップ(中原 淳・東京大学)
 第5章 ワークショップと社会貢献活動(中尾根美沙子・青山学院大学)
第III部 学校をひらくワークショップ
 第6章 図工の時間というワークショップ――お茶の水女子大学附属小の実践(刑部育子・お茶の水女子大学)
 第7章 学校を訪れるアーティスト(古川 聖・東京藝術大学)
 第8章 特別支援教育とワークショップ――障害を乗り越える(造形)表現ワークショップと身体・メディアの可能性(茂木一司)
 第9章 大学教育とワークショップ(舘野泰一・東京大学)


第3巻 まなびほぐしのデザイン

シリーズ刊行にあたって
イントロダクション:ワークショップのF2LOモデル(高木光太郎)
第I部 ワークショップをたちあげる
 第1章 ワークショップをつくる(苅宿俊文)
 第2章 ワークショップの企画と運営――ワークショップ・コーディネーターの視点から(吉野さつき・愛知大学)
 第3章 ファシリテーションのデザイン(柏木 陽・演劇百貨店代表,演劇家)
 第4章 ワークショップのコンテンツデザイン(中尾根美沙子)
 第5章 知のおもてなし時空間――ワークショップの空間デザイン(内田まほろ・日本科学未来館)
第II部 ワークショップを分析する
 第6章 ワークショップの分析ツールのデザイン(植村朋弘)
 第7章 分析ツールの技術的展開と可能性(戸田真志・熊本大学)
 第8章 分析ツールが実践を開くとき(刑部育子)
 第9章 ワークショップの評価(高木光太郎)
あとがき(佐伯 胖)