ちょっとhな量子論

2006年5月9日 - 13:30
太田浩一
(「UP」4月号より転載)

ようこそのお運びで厚く御礼申し上げます.あいも変わりませんばかばかしいおうわさを一席おつきあいのほどお願い申し上げます.

むかしから「十人寄れば気は十色」なんてことを言いまして,みなさんお顔がちがうと同様に,ご気性というものがちがっております.学者の方々も,どうしてこんなことが面白いのか,と思うようないろんなことに夢中になっておられまして.寝ては夢,起きてはうつつ幻の,大発見に巡り会わんそのために,艱難辛苦いかばかり,一日千秋の思いをなし,盲亀の浮木,優曇華の花待つこと久しく,ここで会うたが百年目…….仇討ちじゃありませんが.

わたしの知り合いに大学で物理という学問を教えている人がおりまして.専門は「量子色力学」というそうです.「いよーっ,量子さんという女性がお目当てで,なんとか仲よくなろう,という研究ですな」と言ったらえらく叱られました.それはそうです.ぼーっとした人でして.小学生のとき担任の先生が家庭訪問に見えられて「太田君は青いお洟を二本たらして,お洋服の前がいつもよだれで光っているので心配しましたが,お勉強はよくできるのでほっとしました」なんておっしゃったそうですな.この間なんかもこんなことがあったそうです.渋谷駅で改札を通ったとき,後から小走りに駆けてきた若いご婦人に肩をたたかれまして.キッと振り返って「お嬢さん,ぼくに何かご用でしょうか」と言おうと身構えたとたん,「ズボンの前があいてます」と言われたそうです.健気な娘さんですな. (続きを読む…)

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