ワークプレイス・パーソナリティ論 (冊子版)

人的資源管理の新視角と実証

冊子版 電子書籍
著者
鈴木 智之
ジャンル
社会科学  > 経済・経営
発売日
2023/05/02
ISBN
978-4-13-042155-3
判型・ページ数
A5 ・ 272ページ
定価
3,850円(本体3,500円+税)
在庫
在庫あり
内容紹介
目次
著者紹介

いま注目される、職場の「こころ」。
独自の実証研究により日本企業への提言を引き出す。

職場の「こころ」に注目が集まっている。ビッグファイブ、ダーク・トライアド、GRITなどの世界的に蓄積されたパーソナリティ研究の知見は、どのように職場のデザインと働き方に活かしていけるものなのだろうか。これまでは捉えどころがなかった職場におけるパーソナリティ理論の系譜と世界的潮流に研究者と実務家はどのように対峙して、理解を進めればよいのだろうか。採用、選抜、育成、評価、それぞれの人事活動に関連する世界中の膨大なパーソナリティ研究を体系的・包括的にレビューし、独自の実証研究によってこれからの日本企業への提言を引き出す。


【本書「はじめに」より】
昨今の経営活動の一大潮流は「人間心理への注目」であることは間違いない。これまでは経営成果や組織行動に注目が集まっていたが、その背景にある心理的安全性、エンゲージメント、1 on 1ミーティングなど、人間心理から企業活動を理解しようという試みがこれまでにない勢いでなされ始めている。そのような中で、「パーソナリティ」という幅広い人間心理を扱う研究分野をこれからは無視できなくなる。

例えば、ワークプレイスの心理的安全性を破壊するような社員がいる。組織内で他者からの高い評価を求めながら、他者との軋轢を自ら生むような組織行動をとる社員がいる。1 on1ミーティングによって部下の業務熟達を促進できる上司とできない上司がいる。入社後すぐに会社に馴染んで活躍する社員と馴染めずに伸び悩む社員がいる。これらの社員の心理を理解するためには、パーソナリティ理論が必要不可欠だ。……

パーソナリティ理論は経営学分野ではなく、学校教育・医療などを場面とした心理学分野で長年の研究の歴史を持ち、膨大な知識の蓄積がある。この蓄積された成果をワークプレイスに適用し、採用や評価などの人的資源管理の諸施策に展開することが国内外で求められており、そのための体系的な解説書が望まれるところである。

本書は、それに取り組むものである。主要なパーソナリティ理論に着目し、ワークプレイス・パーソナリティとしてとりまとめ、それを人的資源管理論に展開するのが本書の目指すところである。
 

はじめに
 本書の内容 
 本書の構成 
 想定読者

第I部 理論編

第1章 「ワークプレイス・パーソナリティ」の理論的布置
 1.1. 定義
    1.1.1. パーソナリティ
    1.1.2. 人的資源管理
 1.2. 人的資源の側面
    1.2.1. 知的能力
    1.2.2. 職務遂行能力
    1.2.3. 非認知的側面
 1.3. 非認知的側面としてのパーソナリティ
    1.3.1. 非認知的側面の代表的概念 
    1.3.2. 組織行動との因果関係
    1.3.3. 状況による一貫性
    1.3.4. 特性としての安定性
 1.4. パーソナリティの基礎理論
    1.4.1. 特性論
    1.4.2. 特性活性化理論
 1.5. 本書の新たな試み·
    1.5.1. パーソナリティ理論のワークプレイスへの適用
    1.5.2. ワークプレイス・パーソナリティの人的資源管理制度への布置
    1.5.3. 実証分析
 1.6. 成果への展望·
    1.6.1. 心理的・行動的成果
    1.6.2. 職務成果
    1.6.3. 理論知と実践知の循環への展望

第2章 主要なパーソナリティ理論
 2.1. ビッグファイブ研究
    2.1.1. 系譜
    2.1.2. 内容
    2.1.3. 今日の展開
 2.2. ダーク・トライアド研究
    2.2.1. 系譜 
    2.2.2. 内容
    2.2.3. 今日の展開
 2.3. GRIT研究
    2.3.1. 系譜
    2.3.2. 内容
    2.3.3. 今日の展開
 2.4. HSP研究
    2.4.1. 系譜
    2.4.2. 内容
    2.4.3. 今日の展開
 2.5. 自意識研究
    2.5.1. 系譜
    2.5.2. 内容
    2.5.3. 今日の展開

第II部 人的資源管理論の3過程

第3章 採用・選抜
 3.1. 採用研究
    3.1.1. RJP研究 
    3.1.2. 予期的社会化研究
    3.1.3. リクルータ研究
 3.2. 選抜研究
    3.2.1. 信頼性研究
    3.2.2. 妥当性研究
    3.2.3. 面接研究
    3.2.4. 適性検査研究 
    3.2.5. エントリーシート研究
 3.3. まとめ

第4章 育成
 4.1. オン・ボーディング研究
    4.1.1. スクール・トゥ・ワーク・トランジション研究 
    4.1.2. オン・ボーディングの実証研究
    4.1.3. 実践事例
    4.1.4. パーソナリティとオン・ボーディング 
    4.1.5. 組織社会化との接続 
 4.2. 組織社会化研究
    4.2.1. メタ分析
    4.2.2. パーソナリティと組織社会化戦術
    4.2.3. HSPとジョブ配置
    4.2.4. 実践事例 
 4.3. 経験学習研究
    4.3.1. 経験学習サイクルの実践事例
    4.3.2. パーソナリティと経験学習スタイル
    4.3.3. ワークプレイスへの展開 
 4.4. まとめ

第5章 評価
 5.1. 行動評価研究
    5.1.1. 包括概念の多様性
    5.1.2. 実践事例
    5.1.3. パーソナリティと行動評価
    5.1.4. ダーク・トライアドの二面性
    5.1.5. 行動評価の方向性
 5.2. 業績評価研究
    5.2.1. 目標管理制度
    5.2.2. ジョブ型人事制度
    5.2.3. ノー・レーティング
    5.2.4. 業績評価の方向性
 5.3. まとめ

第III部 実証と展開

第6章 日本企業における実証分析
 6.1. 採用・選抜とパーソナリティ
    6.1.1. 概要
    6.1.2. 課題
    6.1.3. 目的
    6.1.4. 分析対象者
    6.1.5. 方法
    6.1.6. 結果と考察
 6.2. 育成・評価とパーソナリティ
    6.2.1. 概要
    6.2.2. 目的
    6.2.3. モデル 
    6.2.4. 分析対象者
    6.2.5. 方法
    6.2.6. 結果と考察
 6.3. 職務成果とビッグファイブ
    6.3.1. 概要 
    6.3.2. 課題
    6.3.3. 目的
    6.3.4. 分析対象者
    6.3.5. 方法
    6.3.6. 結果と考察
 6.4. まとめ

第7章 理論発展と日本企業への提言
 7.1. 理論発展への新たな貢献
 7.2. 日本企業への提言
    7.2.1. 「こころの時代」で人物を理解する
    7.2.2. 「上司の器」を見極める
    7.2.3. 「一面的な人物理解」から脱し、人物を多次元的に理解する
    7.2.4. 「性格と成果のメカニズム」を見直す 

おわりに
鈴木 智之
名古屋大学大学院経済学研究科産業経営システム専攻准教授、経済学部経営学科准教授。日本労務学会理事。
慶應義塾大学総合政策学部卒業。東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程・博士課程修了。博士(工学)・人間行動システム。
アクセンチュア株式会社マネジャー、wealth share株式会社代表取締役社長、東京大学大学院情報学環特任准教授などを経て現職。人的資源管理・組織心理学を専門分野とし、特にワークプレイス・パーソナリティ論、就職選抜論の理論・実証研究を行っている。
主な著書に『就職選抜論――人材を選ぶ・採る科学の最前線』(中央経済社、2022年、日本の人事部「HRアワード2022」書籍部門受賞)。
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