マラリアと帝国 増補新装版

新刊

植民地医学と東アジアの広域秩序

著者
飯島 渉
ジャンル
人文科学  > 歴史
書物復権
発売日
2023/05/24
ISBN
978-4-13-020312-8
判型・ページ数
A5 ・ 488ページ
定価
8,580円(本体7,800円+税)
在庫
在庫あり
内容紹介
目次
著者紹介

近代日本は「熱帯医学」と「開拓医学」という2つの植民地医学の体系「帝国医療」に植民地や占領地域の統治のための明確な役割を持たせ東アジアの再編をめざした。台湾統治における衛生行政を起点とし、八重山、満洲、朝鮮、中国などで展開されたマラリア対策の多様な問題系を抉り出し、東アジアの統治秩序や広域秩序の形成に与えた影響を検討する。復刊にあたり、「補論 北海道開拓とマラリア」(書き下ろし)を増補。


「……国際保健の分野において日本がマラリア対策などの感染症対策にとりくむとき、はたして近代日本のマラリアをめぐる物語は忘れられたままでよいのであろうか。戦後の日本の熱帯医学は、台湾などの植民地で蓄積された学知と人材を継承して進められた。戦後、植民地の喪失によって研究の焦点は国内の感染症に向けられるようになったが、疾病構造の変化によって熱帯医学や感染症研究は、あまり注目されない分野となっていった。すなわち、マラリアは忘れ去られ、その結果、……マラリアは遠い熱帯の物語として意識されることになった。しかし、本書が明らかにしたように、マラリアをめぐる物語は、実際には、近代日本における熱帯への誘惑がおりなす物語であったのである。」 (本書「結論」より)

序論 マラリアは語る

I部 植民地医学・帝国医療とマラリア
第1章 日本の台湾統治とマラリア
第2章 20世紀前半、八重山のマラリア対策――台湾経験の位相

II部 植民地医学・帝国医療の構造
第3章 近代日本の衛生学と植民地医学・帝国医療――伝染病研究所・植民地医学校・社会医学第
第4章 戦争と植民地医学

III部 第二次大戦後、東アジアのマラリア
第5章 米軍統治下、八重山のマラリア対策
第6章 中国のマラリア対策――愛国衛生運動の歴史的位置
第7章 戦後日本のマラリア研究――断絶と継承

結論 東アジアにおける植民地医学・帝国医療

補論 北海道開拓とマラリア

増補新装版へのあとがき/初版あとがき
飯島 渉
青山学院大学文学部教授。
1960年埼玉県生まれ。
東京学芸大学、同大学院(修士)、東京大学大学院(博士)に学ぶ。大阪市立大学文学部助手、横浜国立大学経済学部助教授、教授を経て、現職。文学博士(東京大学)。
主要著書に『ペストと近代中国』(研文出版、2000年)、『感染症の中国史――公衆衛生と東アジア』(中公新書、2009年)、『感染症と私たちの歴史・これから』(感染症パートナーズ4、清水書院、2018年)、『「中国史」が滅びるとき――地域史から医療史へ』(研文叢書、2020年)などがある。
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