神と人のはざまに生きる

新刊

近代都市の女性巫者

著者
アンヌ ブッシイ
ジャンル
人文科学  > 宗教
人文科学  > 文化人類学
書物復権
発売日
2009/05/15
ISBN
978-4-13-013200-8
判型・ページ数
四六 ・ 292ページ
定価
3,960円(本体3,600円+税)
在庫
在庫僅少
内容紹介
目次
著者紹介

20世紀の大阪、稲荷神・狐の神さまである「白高(シラタカ)」からのお告げをうけた一人の女性。彼女に憑依するさまざまな神々と助けを求める人びととの仲立ちとして、彼女は激動の時代を巫者として生きぬいた。日本近代の豊穣な民間信仰の姿を生き生きと描き出す。

 

《「3 村での神がかり」より》
勝つ見込みがあるのなら断じて負けやしまい。今も変わらずこんな調子です。そのためなら死ぬのも恐れません。(中略) 私の頑なな意志は何かしら空恐ろしいものです。いいえ、私のといっては間違いです。白高さんのものなのですから。まさにこうしたぎりぎりの緊張状態にあって、昭和九年九月九日、(中略) 私は女の方のみ連れてお滝へお参りしたのです。そのうちの一人の方が、(中略)「玉姫さん」の御名をはじめて発した夢のお告げの言葉を書きとってくれました。自分一人の決断で村を離れることを決めかねていた私にとって、 そのお告げこそ大阪へゆく道を開いてくれたものだったのです。もはや何事も何人も私をとどめることなどできませんでした。神さまの御言葉だったのですから。翌日私は発ちました。

【主要目次】
日本語版への序
プロローグ――一九八三年、大阪、天王寺区

1 玉姫の契り
大阪の玉姫社

2 ままならぬ世
失明後、お滝の道へ

3 村での神がかり
滝と狐
狐、稲荷と女系と
二重系譜の宿命
白高の荒々しさ――夫の死と父の怒り
出立

4 火と水、地と空
稲荷山の滝に打たれる夜
水の霊力
「三年の修行すれば、子供とともに暮らすようにしてやる」

5 仲立ちの世界にて
龍の尾と滝寺の道場
「私の旦那、白高さん」――神という存在
憑依の内と外

6 崩壊と繁栄の渦巻きのなかで
天神山と天王寺地区の歴史
玉姫を取り巻く株屋、芸者、政治家、そして戦禍を被る人々
七年半の嵐――炎と灰の雨

7 神と人の間の交換手
鳴護摩と紙天
信者宅での神降ろし
諸祈願、病気平癒、憑物落しのさまざまな祈禱

8 オダイはあと三年
オダイの継承とシゲノの一代記

あとがきにかえて

シゲノの後、果てしない歩み――日本語版のために

解説『シラタカのお告げ』の現代的意義 (鈴木正崇)
参考文献
中井シゲノ年譜
アンヌ ブッシイ
フランス国立極東学院教授。16 年間日本に暮らして以来、今もフィールド・ワークと研究活動を日本で続け、日本の民俗宗教研究を専門としている。フランス国立極東学院のほか、トゥールーズ大学と社会高等研究院で宗教民俗学、日本民俗学と修験道の研究指導にあたっている。
主要著作に『捨身行者実利の修験道』(角川書店、1977年)、Les oracles de Shirataka (Philippe Picquier, 1992, Réédi-tion, Presses Universitaires du Mirail, 2005)、「神々は山を去っていくのか」(脇田晴子、アンヌ ブッシイ編『アイデンティティ・周縁・媒介』吉川弘文館、2000年)、《Du légitime et de l'illégitime dans le shugendô》(Légitimi-tés, légitimations, A. Bouchy, G. Carré, F. Lachaud(eds.)、《Études thématiques》16, EFEO, 2005)、「神仏習合の系譜」(『宗教研究』Vol. 81、No. 2、2007年)などがある。
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