科学と文化をつなぐ
アナロジーという思考様式
内容紹介
目次
著者紹介
アナロジーは研究の専門性と動向を特色づけると同時に、分野を越えて研究者をつなぐ。ときに危うく、ときにエキサイティングに、私たちが〈共通の場所〉にいることを確認させる――。哲学、人類学、自然科学、芸術など多様な専門家が集い、思考様式を見つめなおす。
はじめに(春日直樹)
序論 科学と文化をつなぐアナロジー(春日直樹)
1 第3のつなぎ方
2 専門を越える難しさ
3 〈共通の場所〉のためのアナロジー
4 推論形式としてのアナロジー
5 自然科学と人文社会系の研究との対比
6 本書の構成と論点
I 文化を科学的に,科学を文化的に理解する
1章 間(ま)は記号か――ゼロ記号再考(田中久美子)
1 はじめに
2 本稿の記号的対象
3 ゼロ記号の列挙
4 間はどのような記号か
5 記号の原型としての曖昧なゼロ記号
6 おわりに
2章 ドゥルーズ=ガタリのテクノロジー論(檜垣立哉)
1 はじめに
2 ドゥルーズ=ガタリのテクノロジー論
3 ハイデガーの農民とドゥルーズ=ガタリの冶金術師
4 機械的系統流
5 メジャー科学とマイナー科学
6 冶金術と機械的系統流
7 群れの力能
8 金属からサイボーグへ
II 科学的探究にかかわるアナロジー
3章 類推としてのアナロジー――地球の内核の異方性のモデリングを行った一研究を事例として(吉田茂生・中尾 央)
1 類推(アナロジー)と科学の方法
2 アナロジーの定義の検討
3 筆者の内核研究における類推の利用
4 まとめ
4章 人工物とのアナロジーで理解する視覚(河野憲二)
1 眼とカメラ
2 眼を動かさないで見る外界と人工知能による画像処理
3 眼を動かして見る外界と映画のカット,カーナビ
4 アナロジーがつなぐ科学と技術
5章 ニワトリの空間行動であそぶ――乳幼児のためのゲームアプリケーション(岡部佳世)
1 はじめに
2 ニワトリの位置情報取得実験から空間歩行パターンを抽出する
3 歩行パターンをアナロジカルにプログラムに用いる
4 おわりに
6章 伊谷純一郎の霊長類社会学――「人間的理解」と思考の型(黒田末寿)
1 はじめに
2 霊長類学の誕生と発展
3 「人間家族の4条件」とファミロイド仮説
4 伊谷純一郎の霊長類社会学
5 伊谷純一郎の思考――不変なものを求めて
7章 霊長類学における共感と共存(足立 薫)
1 霊長類学の方法
2 参与と共感の経験
3 混群を観察する
4 ともに在る
III 文化理解のためのアナロジー
8章 人が家で死ぬということ――死のプロセスについての南タイのフィールドからの人類学的実践(西井凉子)
1 はじめに
2 家で死ぬこと,病院で死ぬこと
3 死と身体
4 おわりに
9章 贈与と賠償――アナロジーの双方向性と非対称性(春日直樹)
1 「モカ」と呼ばれる贈与
2 モカと賠償の不可解な関係
3 モカと賠償の双方向的なアナロジー
4 双方向性,対称性,同一性
10章 野(フィールド)から紙(ペーパー)へ――生態人類学のドキュメンテーション(河合香吏)
1 はじめに
2 東アフリカ牧畜民は「家畜の数を数えない」
3 フィールドで数える――個体識別とクロスチェックのためのデータ収集
4 帰国後に数える――牛群の年次動態に向けて
5 結びにかえて――生態人類学のドキュメンテーションと人々の「生」の姿
IV 科学と文化の出会いにおけるアナロジー
11章 宇宙における我々の位置――科学と哲学の協奏(青木滋之)
1 はじめに
2 宇宙における我々の位置――三つの用法
3 アナロジーとは――科学哲学の視点から
4 我々の位置の変遷――古代から現代の系外惑星まで
5 宇宙における我々の位置――アナロジカルな思考の史的展開
12章 記号の離床――将棋電王戦にみる人間と機械のアナロジカルな相互作用(久保明教)
1 はじめに
2 揺れ動く意味
3 ゲームの内と外
4 揺らぐ実践の境界
5 アナロジカルな相互作用
13章 心的概念の前提としての,脳・還元・システム(平 理一郎)
1 はじめに
2 方法論的革新
3 思考実験「桜を見て感動する」
4 脳のシステム的理解
5 おわりに
V アナロジーの再理解,科学と文化の再理解へ
14章 人が「自然」を産み出す話――異質なものの普遍性(中村恭子)
1 はじめに――頭を擡げるアルシブラ
2 忘れ得ぬ人々
3 珠の訪れ――熊と人の共立
4 異質なものの普遍性
5 逸楽の士が嗜むアナロジー
6 おわりに――ラッキーコイン~空虚な坩堝になって
15章 アナロジーとパラロジー――内在性の浜辺でシミュラクルに賭けること(近藤和敬)
1 アナロジー的思考
2 アナロジーとイデア的思考
3 上昇的認識=イデア的思考の方法一――カヴァイエスの「範例」
4 上昇的思考=イデア的思考の方法二――ロトマンの「イデア的弁証法」
5 ドゥルーズの「プラトニズムの転倒」と「シミュラクル」
6 パラロジーとの賭け――カヴァイエス「コレクティフから賭けへ」
7 確率ゼロの賭けとしてのパラロジー
16章 アナロジーの位相――利口なハンスの知性はどこにあるか(郡司ペギオ幸夫)
1 はじめに
2 双対空間と不動点
3 利口なハンス
4 アナロジーという逸脱
5 脳の中のアナロジー
6 おわりに
総括(春日直樹)
1 アナロジーが提起する諸テーマ
2 科学と自然言語とのアナロジカルな関係
3 科学と文化の相補性
4 変動と試練
執筆者一覧
序論 科学と文化をつなぐアナロジー(春日直樹)
1 第3のつなぎ方
2 専門を越える難しさ
3 〈共通の場所〉のためのアナロジー
4 推論形式としてのアナロジー
5 自然科学と人文社会系の研究との対比
6 本書の構成と論点
I 文化を科学的に,科学を文化的に理解する
1章 間(ま)は記号か――ゼロ記号再考(田中久美子)
1 はじめに
2 本稿の記号的対象
3 ゼロ記号の列挙
4 間はどのような記号か
5 記号の原型としての曖昧なゼロ記号
6 おわりに
2章 ドゥルーズ=ガタリのテクノロジー論(檜垣立哉)
1 はじめに
2 ドゥルーズ=ガタリのテクノロジー論
3 ハイデガーの農民とドゥルーズ=ガタリの冶金術師
4 機械的系統流
5 メジャー科学とマイナー科学
6 冶金術と機械的系統流
7 群れの力能
8 金属からサイボーグへ
II 科学的探究にかかわるアナロジー
3章 類推としてのアナロジー――地球の内核の異方性のモデリングを行った一研究を事例として(吉田茂生・中尾 央)
1 類推(アナロジー)と科学の方法
2 アナロジーの定義の検討
3 筆者の内核研究における類推の利用
4 まとめ
4章 人工物とのアナロジーで理解する視覚(河野憲二)
1 眼とカメラ
2 眼を動かさないで見る外界と人工知能による画像処理
3 眼を動かして見る外界と映画のカット,カーナビ
4 アナロジーがつなぐ科学と技術
5章 ニワトリの空間行動であそぶ――乳幼児のためのゲームアプリケーション(岡部佳世)
1 はじめに
2 ニワトリの位置情報取得実験から空間歩行パターンを抽出する
3 歩行パターンをアナロジカルにプログラムに用いる
4 おわりに
6章 伊谷純一郎の霊長類社会学――「人間的理解」と思考の型(黒田末寿)
1 はじめに
2 霊長類学の誕生と発展
3 「人間家族の4条件」とファミロイド仮説
4 伊谷純一郎の霊長類社会学
5 伊谷純一郎の思考――不変なものを求めて
7章 霊長類学における共感と共存(足立 薫)
1 霊長類学の方法
2 参与と共感の経験
3 混群を観察する
4 ともに在る
III 文化理解のためのアナロジー
8章 人が家で死ぬということ――死のプロセスについての南タイのフィールドからの人類学的実践(西井凉子)
1 はじめに
2 家で死ぬこと,病院で死ぬこと
3 死と身体
4 おわりに
9章 贈与と賠償――アナロジーの双方向性と非対称性(春日直樹)
1 「モカ」と呼ばれる贈与
2 モカと賠償の不可解な関係
3 モカと賠償の双方向的なアナロジー
4 双方向性,対称性,同一性
10章 野(フィールド)から紙(ペーパー)へ――生態人類学のドキュメンテーション(河合香吏)
1 はじめに
2 東アフリカ牧畜民は「家畜の数を数えない」
3 フィールドで数える――個体識別とクロスチェックのためのデータ収集
4 帰国後に数える――牛群の年次動態に向けて
5 結びにかえて――生態人類学のドキュメンテーションと人々の「生」の姿
IV 科学と文化の出会いにおけるアナロジー
11章 宇宙における我々の位置――科学と哲学の協奏(青木滋之)
1 はじめに
2 宇宙における我々の位置――三つの用法
3 アナロジーとは――科学哲学の視点から
4 我々の位置の変遷――古代から現代の系外惑星まで
5 宇宙における我々の位置――アナロジカルな思考の史的展開
12章 記号の離床――将棋電王戦にみる人間と機械のアナロジカルな相互作用(久保明教)
1 はじめに
2 揺れ動く意味
3 ゲームの内と外
4 揺らぐ実践の境界
5 アナロジカルな相互作用
13章 心的概念の前提としての,脳・還元・システム(平 理一郎)
1 はじめに
2 方法論的革新
3 思考実験「桜を見て感動する」
4 脳のシステム的理解
5 おわりに
V アナロジーの再理解,科学と文化の再理解へ
14章 人が「自然」を産み出す話――異質なものの普遍性(中村恭子)
1 はじめに――頭を擡げるアルシブラ
2 忘れ得ぬ人々
3 珠の訪れ――熊と人の共立
4 異質なものの普遍性
5 逸楽の士が嗜むアナロジー
6 おわりに――ラッキーコイン~空虚な坩堝になって
15章 アナロジーとパラロジー――内在性の浜辺でシミュラクルに賭けること(近藤和敬)
1 アナロジー的思考
2 アナロジーとイデア的思考
3 上昇的認識=イデア的思考の方法一――カヴァイエスの「範例」
4 上昇的思考=イデア的思考の方法二――ロトマンの「イデア的弁証法」
5 ドゥルーズの「プラトニズムの転倒」と「シミュラクル」
6 パラロジーとの賭け――カヴァイエス「コレクティフから賭けへ」
7 確率ゼロの賭けとしてのパラロジー
16章 アナロジーの位相――利口なハンスの知性はどこにあるか(郡司ペギオ幸夫)
1 はじめに
2 双対空間と不動点
3 利口なハンス
4 アナロジーという逸脱
5 脳の中のアナロジー
6 おわりに
総括(春日直樹)
1 アナロジーが提起する諸テーマ
2 科学と自然言語とのアナロジカルな関係
3 科学と文化の相補性
4 変動と試練
執筆者一覧