現代国際関係史

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1945年から21世紀初頭まで

著者
有賀 貞
ジャンル
社会科学  > 政治
発売日
2019/05/01
ISBN
978-4-13-032228-7
判型・ページ数
A5 ・ 344ページ
定価
3,850円(本体3,500円+税)
在庫
在庫あり
内容紹介
目次
著者紹介
近代国際関係史の通史として定評を得ている『国際関係史――16世紀から1945年まで』(2010年刊行)の続編。第二次世界大戦終結前後から21世紀初頭までを対象に、日本に重点を置きながら、現代国際関係の流れを世界的広がりにおいてバランスよく平易かつ丁寧に概説する。
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【解題(佐々木卓也)】(抜粋)
 有賀貞は日本におけるアメリカ史研究を長く牽引した碩学であり、その業績は革命期、革新主義期、ウィルソン期、冷戦期を中心とするアメリカ政治・外交史全般に及ぶ。外交関係ではとくに日米関係に関する多くの論文を発表し、さらに国際関係史のテキスト An International History of the Modern World (研究社、2003年)を出版した。この英文テキストについては、前著『国際関係史――16世紀から1945年まで』のはしがきで、「より詳しい国際関係史を書くための準備のつもりであった」と位置づけているように、本格的な国際関係史の研究書の執筆を念頭に置いたものであった。
 日本の単独著者による国際政治史の優れた専門書としては、古典である岡義武『国際政治史』(岩波書店、1955年)をはじめ、近年では石井修『国際政治史としての20世紀』(有信堂、2000年)、松岡完『20世紀の国際政治――二度の世界大戦と冷戦の時代』(改訂増補版、同文舘出版、2003年)、佐々木雄太『国際政治史——世界戦争の時代から21世紀へ』(名古屋大学出版会、2011年)がある。これらの中で、有賀が独自性を誇るのは、まず議論の対象とする地域、検討する事象のバランスである。有賀は前著と同様本書においても、欧米はもちろん、日本を含むアジア、中近東、アフリカなどの国際関係に十分注目し、これらの諸地域の動向を有機的に結びつけて、国際関係の歴史を探究する。その手際の巧みさには、まさに老熟の趣がある。また取り上げる事象は常識的な基準によるものであり、人を驚かすようなことはないが、日本などアジアの諸事件に多くのページを費やしているところに、有賀独特の問題意識を感じる。
 さらに歴史の解釈においても、豊かな学殖にもとづく絶妙のバランス感覚がある。有賀の見解は基本的に学界の支配的見解を踏襲したものであり、とくに斬新な見方を提示するものではないが、むしろそれ故に全体の考察に確かな信頼性と説得性がある。そもそも実に多岐にわたる分野での膨大な研究成果を適切に摂取、咀嚼し、要領よく議論を構築、展開することは至難の業である。本書で有賀が示す学識には敬服のほかない。
はしがき

序 章 ヨーロッパの時代からアメリカの時代へ
 1 第一次世界大戦の勃発と長期化  
 2 アメリカの参戦とロシア革命  
 3 第一次世界大戦の歴史的意味  
 4 遅れた相対的安定の回復と速やかな崩壊  
 5 第二次世界大戦の勃発と拡大  
 6 第二次世界大戦の歴史的意味  

第I章 第二次世界大戦終結前後の世界
 1 戦後を摸索するアメリカ  
 2 労働党政権下の戦後イギリス  
 3 ソ連におけるスターリン体制の再強化  
 4 ドイツ第三帝国崩壊後のヨーロッパ西部  
 5 ドイツ第三帝国崩壊後のヨーロッパ東部  
 6 日本帝国敗北と東アジア  
 7 東南アジアへの旧宗主国の復帰  
 8 南アジア・中東・アフリカにおける第二次大戦と戦後  
 9 アメリカとラテンアメリカ諸国  
 10 国際連合の発足  

第II章 ヨーロッパの冷戦とアジアの戦争
 1 米ソ「冷戦」の始まり  
 2 マーシャル・プランの実現とソ連の自陣営締め付け  
 3 二つのヨーロッパ,二つのドイツの形成  
 4 ソ連に有利な二つの展開  
 5 朝鮮戦争の勃発と展開  
 6 サンフランシスコ対日講和の成立  
 7 西欧帝国主義の後退  
 8 イスラエル独立とパレスチナ戦争後の中東

第III章 西欧帝国主義の終幕と米ソ冷戦の継続
 1 米ソ両国における指導者の交代  
 2 1954年ジュネーヴ会議とインドシナ休戦  
 3 1955年体制の形成  
 4 ハンガリー動乱とスエズ戦争  
 5 アフリカ植民地の独立  
 6 米ソ・米中関係と中ソ対立の端緒  
 7 第二次ベルリン危機からキューバ・ミサイル危機へ  
 8 日米安全保障条約の改定  

第IV章 ベトナム戦争と米ソ中三国関係
 1 米ソ中の対立・対抗関係と米ソ指導者の交代  
 2 アメリカの戦争としてのベトナム戦争  
 3 1960年代の東南アジア・南アジア情勢  
 4 第三次中東戦争(六日戦争)  
 5 中国のプロレタリア文化大革命  
 6 混乱の年としての1968年  
 7 ニクソン‐キッシンジャー外交の始動  
 8 ニクソン‐キッシンジャー外交の展開  
 9 沖縄返還と日中国交正常化 

第V章 第三世界の激動と米ソ・デタントの退潮
 1 第四次中東戦争とその収拾をめぐる国際政治  
 2 石油戦略の発動  
 3 米軍撤退後の東アジアと東南アジア  
 4 ソ連のアフリカ政策とアメリカの対応  
 5 人権問題の国際的重要性の増大とカーターの「人権外交」  
 6 イラン革命の歴史的意義  
 7 経済先進国としての日本

第VI章 冷戦の終結
 1 レーガンとサッチャーの「保守革命」  
 2 強いアメリカの再建  
 3 ゴルバチョフ革命  
 4 ポーランドの共産党支配の弱体化  
 5 東欧における共産党支配体制の崩壊  
 6 ソ連の解体  
 7 冷戦の終結

第VII章 冷戦後の国際関係
 1 冷戦関連の地域紛争の終息  
 2 フセインのイラク  
 3 湾岸戦争  
 4 ロシアと旧ソ連諸国のポスト共産主義体制  
 5 冷戦後NATO‐ロシア関係  
 6 EUの深化と拡大  
 7 北京の天安門事件  
 8 日本の停滞と中国の躍進 

終 章 アメリカの時代の終わり
 1 グローバル・エコノミーの形成とアメリカ  
 2 アメリカの対外政策における単独主義志向  
 3 9.11同時多発テロ事件とアメリカの反撃  
 4 イラク戦争とアメリカの誤算  
 5 金融恐慌によるアメリカの時代の終わり

年表
あとがき
解題(佐々木卓也)


A History of International Relations:
From 1945 to Early 21st Century
Tadashi ARUGA
有賀 貞
一橋大学名誉教授・故人
現代国際関係史
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