暁のアーカイヴ

戦後日本映画の歴史的経験

著者
中村 秀之
ジャンル
人文科学
人文科学  > 哲学・思想・倫理
人文科学  > 美学・芸術
発売日
2019/07/29
ISBN
978-4-13-080221-5
判型・ページ数
四六 ・ 404ページ
定価
5,280円(本体4,800円+税)
在庫
在庫あり
内容紹介
目次
著者紹介
アーカイヴ的環境を前提として規定される世界において、記録映画や劇映画といったジャンルを横断しつつ、戦後日本映画の多様な試みを考察する。画面と音響、作品と文脈が交錯する様を精緻にあとづけることで浮かび上がる映画研究最良の成果。
序章 アーカイヴの時代に映画を語る
 1 「映画のうしろ姿」
 2 映画の生,死に臨む生
 3 アーカイヴの亡霊

第1部 瓦礫の中から――敗戦と被占領の諸相

I 敗戦後日本のヘテロトピア――映画の中のヤミ市をたずねる
 1 映画の中の都市――東京の場合
 2 映画の都市表象としてのヤミ市
 3 敗戦と時空の歪み――占領期(1940年代後半)
 4 女たちの生きる場所――ポスト占領期(1950年代)
 5 暴力による秩序――高度経済成長期(1960年代)①
 6 敗戦の理念――高度経済成長期(1960年代)②
 7 挫かれた復員――「戦後」末期(1970年代初頭)
 8 ヤミ市表象の政治的無意識に向けて
 後記(2019年)――生存権をめぐる闘い

II 出会いそこないの道程――黒澤明とアメリカ
 1 監督ジョン・フォードとの不確かな出会い
 2 鑑(かがみ)としてのアメリカ映画
 3 アメリカ軍とのすれ違い
 4 「超越的審級」としてのアメリカ
 5 映画の予期されぬ出会い

III 占領下アメリカ製教育映画についての覚書――ナトコ(映写機)とCIE映画
 1 占領期の教育映画政策の概略
 2 ナトコの「受け入れ」の実態
 3 CIE教育映画を求めて

IV 敗者の映像――CIE映画教育と日本製CIE映画
 1 敗者も映像を持った
 2 CIE映画教育とそのギャップ
 3 日本製CIE映画の多様性
 4 日本製CIE映画の曖昧さ
 5 敗者のヴィジョン

第2部 共同を求めて――岩波映画から土本典昭へ

V 「暁にあう」まで――「岩波映画」と見ることの社会的創造
 1 岩波映画製作所と「岩波映画」
 2 戦後の短編映画業界と岩波映画製作所
 3 「岩波映画」的なものの驚き
 4 「岩波映画」的なものの系譜
 5 見ることの楽しき知

VI 見えるものから見えないものへ――『社会科教材映画大系』と『はえのいない町』
 1 忘れられた教材映画とその映像論
 2 見ることの「新教育」――「初期社会科」と『社会科教材映画大系』
 3 経験の間接性と視点の他者性――『社会科教材映画大系』 の潜在的な問い
 4 見えないものの方へ――作品『はえのいない町』の事例研究

VII 活動とは別の仕方で――土本典昭の作品における映画的身体の生成
 1 表象としての「人とカメラとの関係」
 2 活動する身体としての協働――土本典昭の初期作品
 3 「間接話法」の挫折――『水俣の子は生きている』①
 4 活動とは別の仕方で――『水俣の子は生きている』②
 5 身体の新たな賦活――『留学生チュア スイ リン』

VIII 声と顔のアレンジメント――『水俣――患者さんとその世界』論
 1 声と顔のずれ
 2 奈落から立ち上がる声
 3 非同期の力
 4 漂い出る声たちの交響

第3部 孤独のゆくえ――俳優たちと作家たち

IX ゆく者を送るまなざし――高峰秀子と顔の時
 1 「戦中派」高峰秀子の撮られなかった顔
 2 「作り笑い」が血にまみれる――スターの顔と他者の時
 3 「真実の顔」が演じる――俳優の顔と時の終わり
 4 「不美人」を創る――作家の顔と回帰する時

X 特攻隊が似合わない男――高倉健の不穏な肉体
 1 客分と主人
 2 ヒーローとしての鶴田浩二と高倉健
 3 特攻隊映画の論理と高倉健
 4 「闘争の根元であるところへの攻撃」

XI 外傷の絵/贈与の物語――北野武の映画についての覚書
 1 外傷イメージの構造
 2 バスター・キートンと北野武
 3 物語を生まない贈与
 4 絵と物語の拮抗

XII 生命の切れ端――相米慎二の映画における下半身の想像力
 1 「主題」としての下半身
 2 男性的セクシュアリティの楕円――『翔んだカップル』『風花』
 3 男たちと卵の謎――『台風クラブ』から『あ,春』へ
 4 女たちと無機物の愛――『魚影の群』/『光る女』
 5 人影のダンス――『東京上空いらっしゃいませ』
 後記(2019年)――〈相続放棄〉と子どもの身体

終章 喜劇は到来する――森﨑東の映画における反逆の論理
 1 悲劇的/喜劇的
 2 喜劇ここに始まる(インキピット・コメディア)――罪を負う敗者と脱領土化
 3 喜劇的なものの怪物が生まれる――『喜劇 特出しヒモ天国』
 4 悲劇的なものの亡霊を異化する――『黒木太郎の愛と冒険』
 5 終わりなき反逆
 後記(2019年)――有罪性の社会的構築へ


Archive at Dawn:
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Hideyuki NAKAMURA
中村 秀之
立教大学現代心理学部教授
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