普遍生物学
物理に宿る生命,生命の紡ぐ物理
内容紹介
目次
著者紹介
生命一般に成立する普遍的性質を求めて――非常に多様な成分をもち、維持・再生産するユニークな能力をもつ生命の「複製・適応・記憶・分化・進化」の原理をいかにしてみいだすか? 『生命とは何か』から16年――生命を探究する新たなステージへ読者をいざなう。
第1章 普遍生物学
1.1 普遍生物学の可能性――生命一般の性質はあるのではないか?
1.2 生命の基本的性質
1.2.1 活動性,頑健性,可塑性
1.2.2 自律性
1.3 多様性
1.4 生きている状態の理論について――生命システムのマクロ状態理論の可能性
1.4.1 生命は理解できるという可能性に賭けてみよう
1.4.2 熱力学をふりかえる
1.4.3 生命状態現象論の可能性――熱力学の成功を意識して
1.5 生物複雑系の見方――階層間の動的整合性
1.6 整合性とタイプ化
1.6.1 整合性をみたす状態
1.6.2 タイプ化のアトラクター描像
1.6.3 タイプ化の分岐描像
1.6.4 タイプ間の遷移
1.7 まとめ
第2章 普遍生物学の方法論
2.1 階層間整合性
2.2 A:マクロ現象論
2.3 B:ミクロからみた整合性――多成分全体での統計則(ミクロ)
2.3.1 ミクロ大自由度モデルの意義
2.3.2 成分にわたる統計法則
2.3.3 ゆらぎの性質――対数正規分布
2.4 C:マクロ-ミクロ整合性
2.4.1 整合性の意義
2.4.2 増殖共通の帰結――μ理論(ミクロ平均量とマクロ増殖)
2.4.3 強いホメオスタシス原理
2.5 D:時間スケール階層性と整合性
2.5.1 生命における多時間スケール
2.5.2 時間スケールの異なる現象間の干渉と制御
2.6 E:実験
2.6.1 整合性への実験アプローチ
2.6.2 構成生物学
2.7 F:整合性の破れと可塑性の回復
2.8 まとめ
第3章 細胞の複製――熱力学,ゆらぎ,整合性
3.1 多様な成分をもつ複製系に関する問い
3.1.1 非平衡性
3.2 成長細胞のマクロ現象論(A)
3.2.1 自己触媒による平衡化と成長
3.2.2 成長に関する法則
3.2.3 成長と栄養消費とロスによる熱力学形式
3.3 触媒反応ネットワークからみえる分布則とマクロ状態論(B, C)
3.4 細胞状態の転移――触媒枯渇による遅いダイナミクスと整合性の破れ(D, F)
3.5 実験――成長速度,世代時間,成分濃度のゆらぎの法則(E)
3.5.1 (マクロ)成長速度とゆらぎの法則
3.5.2 分裂時間の1細胞計測と分布法則
3.6 構成的な細胞構築実験と普遍生物学の理論的問題
3.6.1 分子-細胞の相克的階層進化と遺伝の起源
3.6.2 少数性,混雑性,区画化
3.6.3 多様性,ゴミ処理,混雑性
3.7 まとめ――本章で議論された普遍的な性質と法則
第4章 細胞の環境への適応――ゆらぎ,アトラクター選択,整合性
4.1 生物の適応の2つの側面
4.2 活性とゆらぎによる一般的適応の現象論(A)
4.3 少数成分での例(B, E)
4.4 多成分のミクロ・モデルでの検証(B, C)
4.5 細胞の適応におけるノイズの意義(E)
4.5.1 細胞ゆらぎによる集団増殖率の増加
4.5.2 アトラクター選択の拡張と細胞実験での検証可能性
4.6 時間スケールの干渉による状態選択(D)
4.7 整合性の破れ――新規環境への適応過程(F)
4.8 まとめ――本章で議論された普遍的な性質
4.9 付録:遺伝子制御ネットワークモデル
第5章 細胞のホメオスタシス
5.1 問題意識
5.2 少数成分での適応モデル,現象論(A)
5.3 適応のミクロ大自由度モデル(B)
5.3.1 触媒反応ネットワークモデルでの適応
5.3.2 遺伝子制御ネットワークにおける適応
5.4 生物時計のホメオスタシス(D)
5.4.1 周期の頑健性(ロバストネス)
5.4.2 周期の頑健性と位相の可塑性の間の互恵関係
5.5 整合性の破れと適応の適応(F)
5.6 まとめ――本章で議論された普遍的な性質と法則
5.7 付録
第6章 細胞の記憶
6.1 静的記憶と動的記憶
6.2 酵素競合律速による動的記憶理論(B, D)
6.3 化学反応ネットワークにおけるガラス的ふるまい(C, D)
6.4 遅い時間スケールへの固定化(C, D)
6.5 動的記憶の生物学的意義と実験的検証(E)
6.6 まとめ――本章で議論された普遍的性質
6.7 付録――動的記憶のチェイン修飾モデル
第7章 細胞状態の分化
7.1 分化における基本的な問い
7.2 発生のマクロ現象論の可能性(A, E)
7.3 未分化細胞からの組織構築実験(A, E)
7.4 細胞分化の相互作用力学系(B, C, E)
7.4.1 相互作用力学系モデル(B)
7.4.2 振動からの分化(C)
7.4.3 階層的分化と分化多能性の度合いの指標(C)
7.4.4 比率制御――マクロ-ミクロ整合性(C)
7.4.5 多能性と状態変動の実験的検証(E)
7.5 エピジェネティック固定(D:時間スケール)
7.6 不可逆性を巻き戻す操作について(C, D, E)
7.7 整合性の破れ――変態,ガン化(F)
7.8 本章で議論した普遍的性質
7.9 付録
第8章 表現型進化
8.1 表現型のゆらぎと進化しやすさ
8.2 マクロ分布理論(A)
8.3 ミクロモデルでの検証(B)
8.4 遺伝子制御ネットワークモデルでの検証――ミクロとマクロをつなぐ試み(B, C)
8.5 異なる時間スケールの間の整合性――エピジェネティクス(D)
8.6 ゆらぎの維持と可塑性の回復(E, F)
8.6.1 環境変動
8.6.2 自由度の干渉(E, F)
8.7 整合性の破れと種分化(F)
8.8 まとめ――本章で議論された普遍的性質と法則
第9章 環境への適応と進化――次元圧縮,頑健性,ルシャトリエ原理
9.1 環境適応による表現型変化と進化による変化
9.2 ミクロ-マクロ適応関係――実験(E, C)
9.3 細胞モデルの適応にみるミクロ-マクロ関係(C)
9.4 優位モード理論――ミクロ-マクロ関係へ(C)
9.5 表現型進化のミクロ-マクロ関係――理論と実験(C, D, E)
9.5.1 理論
9.5.2 細胞モデルのシミュレーションによる確認
9.5.3 実験的検証(E)
9.6 ノイズによるゆらぎと遺伝子変異によるゆらぎの間の成分にわたる比例関係(C)
9.7 遅いモードの意義(D)
9.8 非成長状態と整合性の破れ(F)
9.9 まとめ――本章でみいだされた普遍的法則
第10章 まとめと今後の課題
10.1 まとめ
10.2 起源の問題
10.2.1 生命の起源について再び
10.2.2 細胞内共生,個体内共生
10.2.3 多細胞生物の起源
10.3 生態系
10.3.1 多様性
10.3.2 安定性
10.4 発生と進化の対応について
10.5 脳神経系へ
10.6 生命システムの数理的理論へ
Universal Biology:
Macro-Micro Consistency Principle for Robust Living Systems
Kunihiko KANEKO
1.1 普遍生物学の可能性――生命一般の性質はあるのではないか?
1.2 生命の基本的性質
1.2.1 活動性,頑健性,可塑性
1.2.2 自律性
1.3 多様性
1.4 生きている状態の理論について――生命システムのマクロ状態理論の可能性
1.4.1 生命は理解できるという可能性に賭けてみよう
1.4.2 熱力学をふりかえる
1.4.3 生命状態現象論の可能性――熱力学の成功を意識して
1.5 生物複雑系の見方――階層間の動的整合性
1.6 整合性とタイプ化
1.6.1 整合性をみたす状態
1.6.2 タイプ化のアトラクター描像
1.6.3 タイプ化の分岐描像
1.6.4 タイプ間の遷移
1.7 まとめ
第2章 普遍生物学の方法論
2.1 階層間整合性
2.2 A:マクロ現象論
2.3 B:ミクロからみた整合性――多成分全体での統計則(ミクロ)
2.3.1 ミクロ大自由度モデルの意義
2.3.2 成分にわたる統計法則
2.3.3 ゆらぎの性質――対数正規分布
2.4 C:マクロ-ミクロ整合性
2.4.1 整合性の意義
2.4.2 増殖共通の帰結――μ理論(ミクロ平均量とマクロ増殖)
2.4.3 強いホメオスタシス原理
2.5 D:時間スケール階層性と整合性
2.5.1 生命における多時間スケール
2.5.2 時間スケールの異なる現象間の干渉と制御
2.6 E:実験
2.6.1 整合性への実験アプローチ
2.6.2 構成生物学
2.7 F:整合性の破れと可塑性の回復
2.8 まとめ
第3章 細胞の複製――熱力学,ゆらぎ,整合性
3.1 多様な成分をもつ複製系に関する問い
3.1.1 非平衡性
3.2 成長細胞のマクロ現象論(A)
3.2.1 自己触媒による平衡化と成長
3.2.2 成長に関する法則
3.2.3 成長と栄養消費とロスによる熱力学形式
3.3 触媒反応ネットワークからみえる分布則とマクロ状態論(B, C)
3.4 細胞状態の転移――触媒枯渇による遅いダイナミクスと整合性の破れ(D, F)
3.5 実験――成長速度,世代時間,成分濃度のゆらぎの法則(E)
3.5.1 (マクロ)成長速度とゆらぎの法則
3.5.2 分裂時間の1細胞計測と分布法則
3.6 構成的な細胞構築実験と普遍生物学の理論的問題
3.6.1 分子-細胞の相克的階層進化と遺伝の起源
3.6.2 少数性,混雑性,区画化
3.6.3 多様性,ゴミ処理,混雑性
3.7 まとめ――本章で議論された普遍的な性質と法則
第4章 細胞の環境への適応――ゆらぎ,アトラクター選択,整合性
4.1 生物の適応の2つの側面
4.2 活性とゆらぎによる一般的適応の現象論(A)
4.3 少数成分での例(B, E)
4.4 多成分のミクロ・モデルでの検証(B, C)
4.5 細胞の適応におけるノイズの意義(E)
4.5.1 細胞ゆらぎによる集団増殖率の増加
4.5.2 アトラクター選択の拡張と細胞実験での検証可能性
4.6 時間スケールの干渉による状態選択(D)
4.7 整合性の破れ――新規環境への適応過程(F)
4.8 まとめ――本章で議論された普遍的な性質
4.9 付録:遺伝子制御ネットワークモデル
第5章 細胞のホメオスタシス
5.1 問題意識
5.2 少数成分での適応モデル,現象論(A)
5.3 適応のミクロ大自由度モデル(B)
5.3.1 触媒反応ネットワークモデルでの適応
5.3.2 遺伝子制御ネットワークにおける適応
5.4 生物時計のホメオスタシス(D)
5.4.1 周期の頑健性(ロバストネス)
5.4.2 周期の頑健性と位相の可塑性の間の互恵関係
5.5 整合性の破れと適応の適応(F)
5.6 まとめ――本章で議論された普遍的な性質と法則
5.7 付録
第6章 細胞の記憶
6.1 静的記憶と動的記憶
6.2 酵素競合律速による動的記憶理論(B, D)
6.3 化学反応ネットワークにおけるガラス的ふるまい(C, D)
6.4 遅い時間スケールへの固定化(C, D)
6.5 動的記憶の生物学的意義と実験的検証(E)
6.6 まとめ――本章で議論された普遍的性質
6.7 付録――動的記憶のチェイン修飾モデル
第7章 細胞状態の分化
7.1 分化における基本的な問い
7.2 発生のマクロ現象論の可能性(A, E)
7.3 未分化細胞からの組織構築実験(A, E)
7.4 細胞分化の相互作用力学系(B, C, E)
7.4.1 相互作用力学系モデル(B)
7.4.2 振動からの分化(C)
7.4.3 階層的分化と分化多能性の度合いの指標(C)
7.4.4 比率制御――マクロ-ミクロ整合性(C)
7.4.5 多能性と状態変動の実験的検証(E)
7.5 エピジェネティック固定(D:時間スケール)
7.6 不可逆性を巻き戻す操作について(C, D, E)
7.7 整合性の破れ――変態,ガン化(F)
7.8 本章で議論した普遍的性質
7.9 付録
第8章 表現型進化
8.1 表現型のゆらぎと進化しやすさ
8.2 マクロ分布理論(A)
8.3 ミクロモデルでの検証(B)
8.4 遺伝子制御ネットワークモデルでの検証――ミクロとマクロをつなぐ試み(B, C)
8.5 異なる時間スケールの間の整合性――エピジェネティクス(D)
8.6 ゆらぎの維持と可塑性の回復(E, F)
8.6.1 環境変動
8.6.2 自由度の干渉(E, F)
8.7 整合性の破れと種分化(F)
8.8 まとめ――本章で議論された普遍的性質と法則
第9章 環境への適応と進化――次元圧縮,頑健性,ルシャトリエ原理
9.1 環境適応による表現型変化と進化による変化
9.2 ミクロ-マクロ適応関係――実験(E, C)
9.3 細胞モデルの適応にみるミクロ-マクロ関係(C)
9.4 優位モード理論――ミクロ-マクロ関係へ(C)
9.5 表現型進化のミクロ-マクロ関係――理論と実験(C, D, E)
9.5.1 理論
9.5.2 細胞モデルのシミュレーションによる確認
9.5.3 実験的検証(E)
9.6 ノイズによるゆらぎと遺伝子変異によるゆらぎの間の成分にわたる比例関係(C)
9.7 遅いモードの意義(D)
9.8 非成長状態と整合性の破れ(F)
9.9 まとめ――本章でみいだされた普遍的法則
第10章 まとめと今後の課題
10.1 まとめ
10.2 起源の問題
10.2.1 生命の起源について再び
10.2.2 細胞内共生,個体内共生
10.2.3 多細胞生物の起源
10.3 生態系
10.3.1 多様性
10.3.2 安定性
10.4 発生と進化の対応について
10.5 脳神経系へ
10.6 生命システムの数理的理論へ
Universal Biology:
Macro-Micro Consistency Principle for Robust Living Systems
Kunihiko KANEKO
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2020/03/12