コウルリッジのロマン主義
その詩学・哲学・宗教・科学
内容紹介
目次
著者紹介
サミュエル・テイラー・コウルリッジの思想的な軌跡と著作、再発見の動き著しいこんにちの研究の最前線をまとめるロマン主義研究において必携のリーディングス。文学・哲学にとどまらず、政治・経済思想におよぶ「最初の近代批判」の全貌が、今日の人文知にもつ多彩な示唆を問いかける。
序 章 コウルリッジの海路(大石和欣)
第Ⅰ部 コウルリッジの眺望図
第1章 伝記・レースの切れ端――コウルリッジが描いた知の軌跡(大石和欣)
一 神々しいレースの模様――思想的特徴
二 ロマン主義詩人の形成 一七七二年~九八年
三 闇夜の観照 一八〇〇年~三二年
四 人文知のネットワーク
第2章 著作と特徴・反響する生命の言語――コウルリッジ思想とロマン主義における位置づけ(大石和欣)
一 ロマン主義という文脈
二 コウルリッジの著作と特徴
三 コウルリッジの言語哲学
第II部 コウルリッジの哲学と人文知のかたち
第3章 オイコノミアの思想――福祉の安寧と自由な知の探究(大石和欣)
一 「未完成」の言説の広がり
ニ 「富」と「福祉」と「安寧」――「無窮の福祉」の概念を支える理念
三 自由経済とオイコノミア
四 マルサスの呪縛への抵抗
五 「安寧」と「教育」の遺産
第4章 「遊戯」を通して神を知る――超越論者の美的教育論(和氣節子)
一 ワーズワースとコウルリッジの教育観
ニ 「神の子供」としての言葉
三 「美しいもの」との戯れ
四 「遊び」の教育的意味
五 美と戯れ,神に祈る人材の輩出
第5章 観想と批評――コウルリッジ,デリダ,そして崇高(デイヴィッド ヴァリンズ/騎馬秀太訳)
一 「崇高」をめぐる批評の問題
ニ 進歩主義と保守主義――二項対立の矛盾
三 デリダの観想との近接性
四 自己意識と信仰
五 無限の形を創りだす力としての想像力
六 新たなロマン主義解釈へ
第III部 宗教と科学教が交わる人文知と生の哲学
第6章 生きた信仰の軌跡――合理主義と神秘的直観を統合する試み(直原典子)
一 霊性と神秘主義
ニ コウルリッジにおける霊的信仰と合理主義哲学との緊張関係
三 コウルリッジによるベーメ受容
四 シェリングの自然哲学とコウルリッジ――有機的世界観と世界形成のダイナミズム
五 一八一〇年代後半のコウルリッジの変化――ベーメとシェリングへの批判
六 自由意志をめぐる議論――シェリング,カント,ルター,そしてコウルリッジ
七 アウグスティヌスとコウルリッジによる内的言語
八 結論――ロゴスへの信と神へ向かう意志,神を待ち望む信仰
第7章 有機的生命――『生命論』におけるダイナミズム(勝山久里)
一 「生命」とは?――有機体論への回帰
ニ 「生命科学」の歴史的背景
三 『生命論』(一八一六年)執筆時の生命論争
四 『生命論』の現代的,未来的意味
第8章 「アレゴリック・ヴィジョン」が示すもの――「老水夫行」再考に向けて(藤井佳子)
一 「老水夫行」再考への道
ニ ユニテリアニズムから三位一体論へ
三 「アレゴリック・ヴィジョン」の背景
四 アレゴリック・ヴィジョンが示すもの
五 「老水夫行」と「アレゴリック・ヴィジョン」
第IV部 コウルリッジの詩学と響きあう人文知
第9章 響きあう省察――『省察への導き』の出版にみる読者と編集者の対話(園田暁子)
一 『省察への導き』と晩年のキリスト教哲学者としてのコウルリッジ
ニ コウルリッジにとっての「省察」
三 『省察への導き』出版の背景
四 レイトンに始まる省察の連鎖
五 知識の共有と知的財産権の意識
六 神の光の反射としての『省察への導き』
第10章 内なる風景/内なる詩想――ワーズワスとコウルリッジの知覚表現(吉川朗子)
一 知覚における精神の能動性
ニ 精神と外界
三 内なる知覚と外的知覚
四 共感覚的表現
五 経験の内面化と内的知覚の外在化
第11章 「風に助けられることなく」――会話詩の静かな革命(アルヴィ宮本なほ子)
一 人文知の様式としての誌
ニ 夜明け前の霜と不在の友人(ストレンジャー)
三 詩的な通信――空間を共有しない,時間を共有しない読者への贈りもの
四 他者=友人(ストレンジャー)と歓待する詩
五 「小さい人」のための新しい詩的空間
あとがき エラノス会議とボーリンゲン叢書(大石和欣)
Coleridge's Romanticism:
Contemplations on Poetics, Philosophy, Religion, and Science
Kaz OISHI, Editor
第Ⅰ部 コウルリッジの眺望図
第1章 伝記・レースの切れ端――コウルリッジが描いた知の軌跡(大石和欣)
一 神々しいレースの模様――思想的特徴
二 ロマン主義詩人の形成 一七七二年~九八年
三 闇夜の観照 一八〇〇年~三二年
四 人文知のネットワーク
第2章 著作と特徴・反響する生命の言語――コウルリッジ思想とロマン主義における位置づけ(大石和欣)
一 ロマン主義という文脈
二 コウルリッジの著作と特徴
三 コウルリッジの言語哲学
第II部 コウルリッジの哲学と人文知のかたち
第3章 オイコノミアの思想――福祉の安寧と自由な知の探究(大石和欣)
一 「未完成」の言説の広がり
ニ 「富」と「福祉」と「安寧」――「無窮の福祉」の概念を支える理念
三 自由経済とオイコノミア
四 マルサスの呪縛への抵抗
五 「安寧」と「教育」の遺産
第4章 「遊戯」を通して神を知る――超越論者の美的教育論(和氣節子)
一 ワーズワースとコウルリッジの教育観
ニ 「神の子供」としての言葉
三 「美しいもの」との戯れ
四 「遊び」の教育的意味
五 美と戯れ,神に祈る人材の輩出
第5章 観想と批評――コウルリッジ,デリダ,そして崇高(デイヴィッド ヴァリンズ/騎馬秀太訳)
一 「崇高」をめぐる批評の問題
ニ 進歩主義と保守主義――二項対立の矛盾
三 デリダの観想との近接性
四 自己意識と信仰
五 無限の形を創りだす力としての想像力
六 新たなロマン主義解釈へ
第III部 宗教と科学教が交わる人文知と生の哲学
第6章 生きた信仰の軌跡――合理主義と神秘的直観を統合する試み(直原典子)
一 霊性と神秘主義
ニ コウルリッジにおける霊的信仰と合理主義哲学との緊張関係
三 コウルリッジによるベーメ受容
四 シェリングの自然哲学とコウルリッジ――有機的世界観と世界形成のダイナミズム
五 一八一〇年代後半のコウルリッジの変化――ベーメとシェリングへの批判
六 自由意志をめぐる議論――シェリング,カント,ルター,そしてコウルリッジ
七 アウグスティヌスとコウルリッジによる内的言語
八 結論――ロゴスへの信と神へ向かう意志,神を待ち望む信仰
第7章 有機的生命――『生命論』におけるダイナミズム(勝山久里)
一 「生命」とは?――有機体論への回帰
ニ 「生命科学」の歴史的背景
三 『生命論』(一八一六年)執筆時の生命論争
四 『生命論』の現代的,未来的意味
第8章 「アレゴリック・ヴィジョン」が示すもの――「老水夫行」再考に向けて(藤井佳子)
一 「老水夫行」再考への道
ニ ユニテリアニズムから三位一体論へ
三 「アレゴリック・ヴィジョン」の背景
四 アレゴリック・ヴィジョンが示すもの
五 「老水夫行」と「アレゴリック・ヴィジョン」
第IV部 コウルリッジの詩学と響きあう人文知
第9章 響きあう省察――『省察への導き』の出版にみる読者と編集者の対話(園田暁子)
一 『省察への導き』と晩年のキリスト教哲学者としてのコウルリッジ
ニ コウルリッジにとっての「省察」
三 『省察への導き』出版の背景
四 レイトンに始まる省察の連鎖
五 知識の共有と知的財産権の意識
六 神の光の反射としての『省察への導き』
第10章 内なる風景/内なる詩想――ワーズワスとコウルリッジの知覚表現(吉川朗子)
一 知覚における精神の能動性
ニ 精神と外界
三 内なる知覚と外的知覚
四 共感覚的表現
五 経験の内面化と内的知覚の外在化
第11章 「風に助けられることなく」――会話詩の静かな革命(アルヴィ宮本なほ子)
一 人文知の様式としての誌
ニ 夜明け前の霜と不在の友人(ストレンジャー)
三 詩的な通信――空間を共有しない,時間を共有しない読者への贈りもの
四 他者=友人(ストレンジャー)と歓待する詩
五 「小さい人」のための新しい詩的空間
あとがき エラノス会議とボーリンゲン叢書(大石和欣)
Coleridge's Romanticism:
Contemplations on Poetics, Philosophy, Religion, and Science
Kaz OISHI, Editor