歴史学の作法

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新刊
著者
池上 俊一
ジャンル
人文科学  > 歴史
発売日
2022/12/26
ISBN
978-4-13-023080-3
判型・ページ数
四六 ・ 312ページ
定価
3,190円(本体2,900円+税)
在庫
在庫あり
内容紹介
目次
著者紹介

歴史とは何か、そして史料とは何か。ヨーロッパ史研究を牽引してきた著者が歴史学のさまざまな手法を解説、学問の基本と作法を平易に説く。歴史教育の現状も視野に入れ、私たちがこれからすすむべき道を示す。概論を学びたい学生や、歴史を見る眼を養いたい社会人にも最適。

【「はじめに」より】
歴史学の方法に関しては、もうほとんどのことは言い尽くされているし、後は誰が何を書いてもあまり代わり映えしない(…)ようにも思えるが、昔ながらの史学概論や、さまざまな新潮流のたんなる紹介にとどまらない、 もう一歩踏み込んだ主張をする余地は、まだ残っているのではなかろうか。
つまり、グローバル化する世界の混沌とした情況が、日本をはじめとする先進諸国の文化や学問のあり方にも跳ね返り、かつては疑いもされなかった歴史の見方に懐疑の目が注がれている現在、どのように歴史を考え、研究を進めるべきか、学界の状況をも踏まえて深く、そして広く考え、明確なメッセージとして読者に届けてみたいのである。

はじめに すべてを歴史の相の下に
 歴史学の長期的変容
 社会史と心性史をもっと先に進めよう
 全体史を念頭に
 何のための歴史学か

第一章 歴史の道筋
 私の歴史から皆の歴史へ
 歴史の道筋
 歴史の中の概念
 因果関係と比較史
 時代区分論
 国民史、地域史、グローバル・ヒストリー

第二章 いかに歴史を叙述するべきか
 史料から叙述へ
 言語論的転回とその克服
 時間的存在としての人間
 歴史叙述の特質
 理想の読者

第三章 史料批判は終わらない
 実証主義の史料観
 歴史補助学
 歴史考古学・図像学・デジタル歴史学
 史料論の台頭
 開かれた過程としての史料批判
 オーラル・ヒストリーと記憶

第四章 拡散する数量史
 経済史分野での数量史の誕生
 系の歴史学と歴史人口学
 社会史・心性史・文化史への応用
 原因にも意味にも到達できない数量史
 問題史の中に拡散する数量史

第五章 心性史と感情史
 心性史とその行方
 イマジネールへの注視
 表象の歴史学への転回
 感性史と心理歴史学
 感情史の模索

第六章 社会史の冒険
 アナール派と社会史
 ヨーロッパ諸国での社会史
 日本の場合
 新たな方法の開発
 社会史を構成する諸分野・対象

第七章 無告の民の歴史
 民衆史の守備範囲
 貧者とマルジノー
 民衆文化の方へ
 日常生活史とドイツ学界
 女性史の変遷
 子供・若者・老人

第八章 文化史の課題
 古典的な文化史
 新しい文化史へ
 儀礼と象徴の歴史
 インテレクチュアル・ヒストリーの利用法
 文化史・社会史・宗教史

第九章 土台としての自然と身体
 「人間のいない歴史宣言」
 地理学との対話
 環境史と災害史
 風土論の射程
 身体史の革新
 物質文明の歴史

第一〇章 甦る政治史
 アナール派の政治史批判
 しぶとい事件史
 制度史の脱構築
 新しい政治史
 政治の文化史へ

おわりに これからの歴史学

あとがき
池上 俊一
池上俊一:1956年愛知県生まれ。1983年東京大学大学院人文科学研究科 (西洋史学専攻)博士課程中退。1991年東京大学教養学部助教授、その後東京大学大学院総合文化研究科教授(~2021年)。博士(文学)。現在東京大学名誉教授。
主要著書に『動物裁判』(講談社現代新書、1990年)、『狼男伝説』(朝日選書、1992年)、『ロマネスク世界論』(名古屋大学出版会、1999年)、『中世ヨーロッパを生きる』(分担執筆、東京大学出版会、2004年)、『ヨーロッパ中世の宗教運動』(名古屋大学出版会、2007年)、『パスタでたどるイタリア史』(岩波ジュニア新書、2011年)、『公共善の彼方に』(名古屋大学出版会、2014年)、『ヨーロッパ中近世の兄弟会』(共編、東京大学出版会、2014年)、『ヨーロッパ中世の想像界』(名古屋大学出版会、2020年)、『ヨーロッパ史入門』全2冊 (岩波ジュニア新書、2021、22年)などがある。
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