日本的雇用システムをつくる 1945-1995 (冊子版)

オーラルヒストリーによる接近

冊子版 電子書籍
著者
梅崎 修
南雲 智映
島西 智輝
ジャンル
社会科学  > 経済・経営
発売日
2023/04/04
ISBN
978-4-13-046138-2
判型・ページ数
A5 ・ 560ページ
定価
10,780円(本体9,800円+税)
在庫
在庫あり
内容紹介
目次
著者紹介
戦後からはじまる日本的雇用システムの構築過程について、制度構築の当事者たちへのオーラルヒストリーを作成しながら分析をする。日本の雇用関係史を、企業内民主化の過程として把握し、日本社会の「内」にいた当事者の思考と行為の過程を解き明かす。
序 章 日本的雇用システムの歴史的パースペクティブ
 1.日本的雇用システムはどのように説明されてきたのか
  1.1 後進としての日本、先進としての日本
  1.2 機能的分析の達成、発生論の不在
  1.3 「つくる」という視点の導入
 2.オーラルヒストリーによって何を分析するのか
  2.1 方法としてのオーラルヒストリー
  2.2 オーラルヒストリーの必要性
  2.3 オーラルヒストリーにおける文脈性(関係性)の読解
  2.4 労働史研究のための資料論
 3.本書の構成

第I部 職場の新秩序への模索

第1章 起点としての身分差撤廃交渉
 1.企業内に生まれた民主化運動
 2.労使会議の中の歴史証言
 3.身分差撤廃交渉が進んだ要因 
 4.身分差撤廃をめぐる企業内労使交渉
  4.1 身分差撤廃までの流れ
  4.2 労使交渉の解読
 5.身分差撤廃の達成と残された課題

第2章 賃金の支払い方をめぐる論争
 1.賃金格差を生み出す「査定」
 2.終戦直後の賃金制度 
 3.賃金制度をめぐる企業内労使交渉 
  3.1 A社における賃金制度の変動 
  3.2 労使交渉の解読 
 4.新秩序としての「能力」の採用と限界 
補論 労使交渉のあと──組合リーダーの世代交代と路線転換

第3章 「家族賃金」観念の形成
 1.賃金のなかの「家族」 
 2.人権争議前後の雇用管理 
 3.「家族賃金」の組合提案と消滅 
  3.1 争議後賃金交渉の経緯 
  3.2 争議以前の賃金体系 
  3.3 生活給の論理における男女格差 
  3.4 産別組織からの指摘と組合員からの反発 
  3.5 最終妥結案 
 4.恋愛結婚への憧れと金銭的現実 
 5.労働組合運動の中の性別役割分業意識

第II部 日本的雇用慣行の生成と変容

第4章 労使関係の中の「相互信頼」の獲得
 1.「相互信頼」はどのように形成されたか
 2.生産性運動をめぐる対立
  2.1 生産性運動とは
  2.2 論争 
 3.労使関係における生産性運動の多様性
  3.1 労働部の活動
  3.2 具体的介入
 4.中立・コミュニケーション・啓蒙

第5章 高度成長期における人事制度改革の説得
 1.人事制度改革はいかに説得されたのか 
 2.調査計画と調査対象の説明
  2.1 NKKオーラルヒストリー・プロジェクトの全体像
  2.2 歴史証言者としての奥田健二
 3.NKKにおける「労務管理の科学化」の流れ
  3.1 折井日向の仕事 
  3.2 人事制度の導入順序 
  3.3 人事制度改革への抵抗 
 4.人事制度の日本的変容 
  4.1 2つの改良事例
  4.2 「態度調査」の役割
 5.政治から科学への転換

第6章 企業内労働市場の拡大と完成
 1.「遠い職場」への配置転換
 2.内部労働市場の形成をいかに探るか
 3.使用資料の紹介
 4.東海転出の経緯と実態
 5.釜石の労働者──意識と行動
  5.1 東海転出を促す要因 
  5.2 東海転出を妨げる要因 
 6.転出を促す人事施策と労使関係 
  6.1 2つの製鉄所の比較
  6.2 転出を促す人事施策
 7.内部労働市場の中のインセンティブと公平性

第7章 産業別賃金交渉における内部労働市場の論理
 1.「賃金構造」接近のメカニズムを探る
 2.「個別賃金実態調査」の分析 
 3.賃金交渉の分析枠組み 
  3.1 賃金プロファイル・生涯所得の期待・モデル賃金
  3.2 1人平均方式と標労方式の比較 
 4.労使交渉過程の分析 
  4.1 「第1期長期賃金政策」の目的と内容 
  4.2 標労方式の導入をめぐる対立とその調整
  4.3 賃金プロファイル接近に至る背景
 5.内部労働市場間の調整

第8章 日本的能力観の構築
 1.企業内で「能力」は如何に語られてきたのか
 2.「能力」をめぐる議論
  2.1 査定を伴う定期昇給制度 
  2.2 評価基準をめぐる試行錯誤 
 3.「能力の基準」をつくる 
  3.1 職務から職務遂行能力へ
  3.2 覆面を外して 
  3.3 楠田丘の登場 
 4.能力観への批判とその改良 
  4.1 職務遂行能力の問題点 
  4.2 職務給の日本的修正 
 5.「能力」の揺らぎと新しい合意への模索 
  5.1 組織から市場へ、納得から計画へ
  5.2 新しい「合意」は可能か? 

第9章 新しい人事方針への変革
 1.「新時代の日本的経営」の何が新しかったのか?
 2.人事方針の位置 
 3.使用資料の紹介 
  3.1 日経連の出版物 
  3.2 日経連オーラルヒストリー 
 4.人事方針と人事施策の歴史分析 
  4.1 1969~1995 年間の問題群(能力主義の課題)
  4.2 雇用ポートフォリオの起源 
  4.3 「新時代の日本的経営」における継承と革新 
  4.4 反応
  4.5 その後の「新時代の日本的経営」
 5.継続する議論、残された課題

第III部 地域・産業・政策の労使関係

第10章 企業を超えた地域労使交渉
 1.「集合財」としての労働協約
 2.集合行為の分析視点
 3.東京金属産業における統一労働協約
  3.1 東京金属労働組合の概要
  3.2 統一労働協約締結に至る流れ
  3.3 統一労働協約参加の数量分析
  3.4 統一労働協約の内容分析
 4.統一労働協約締結に至る労使交渉
  4.1 産業別労働組合の意図
  4.2 労使交渉の論点 
  4.3 協約参加の選択的誘因 
 5.個別企業の統一労働協約への参加──東京洗染の事例
  5.1 対立的労使関係
  5.2 労働協約の締結
  5.3 企業内労使関係と産業別労働組合 
 6.労働組合間の協力を生み出す設計

第11章 産業レベルの労働組合運動の役割
 1.産業別労働組合を取り上げる意味
 2.戦後繊維産業と繊維労働者
  2.1 戦後繊維産業の構造
  2.2 繊維産業の業種別労働者数 
  2.3 産業別労働組合としての全繊同盟 
 3.全繊同盟の組織化過程
  3.1 組織拡大の状況
  3.2 中小企業の組織化と関連業種への進出
  3.3 集団組織化の推進
 4.組織拡大の促進
  4.1 中央集権体制の構築 
  4.2 専門オルグ制度の導入 
  4.3 オルグの人材マネジメント 
 5.組織縮小の抑制
  5.1 単組の離脱行動 
  5.2 離脱行動を押しとどめる産業別労働組合の対処
 6.経済構造変化のもとでの労働組合運動

第12章 労働法政策決定における議論の場所
 1.政策決定の調整メカニズム 
 2.労働時間規制の概略と政策研究の視角 
 3.労働省OBオーラルヒストリーの概要 
 4.改正労働基準法の成立過程の解読
  4.1 労働時間の推移と時短への取り組み
  4.2 労働基準法研究会
  4.3 中央労働基準審議会
  4.4 国会審議
 5.研究会・審議会主導の政策決定とその喪失

終 章 雇用論議を始める起点
 1.語られたこと、わかったこと
 2.日本的雇用システムをつくった人びと 
 3.1995年以降の「長い現在」
 4.正解を探すのではなく、新しい制度やルールをつくる人たちを探す

資料紹介 日本における労働史オーラルヒストリー
 1.オーラルヒストリーの議論と蓄積
 2.オーラルヒストリーの分類軸
 3.労働史オーラルヒストリーに向けた探索
  3.1 記録文学・ジャーナリズム 
  3.2 アカデミズムにおける労働史オーラルヒストリー
 4.我々が参加したオーラルヒストリー・プロジェクト
 5.オーラルヒストリーの課題と未来

あとがき――聴いた、考えた、書いた
梅崎 修
法政大学キャリアデザイン学部教授
南雲 智映
東海学園大学経営学部教授
島西 智輝
東洋大学経済学部教授
日本的雇用システムをつくる 1945-1995
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