歴史学研究会編/加藤陽子責任編集『「戦前歴史学」のアリーナ』が、7/13『読売新聞』で紹介
2023/07/13 書評・メディア掲載
歴史学研究会編/加藤陽子責任編集『「戦前歴史学」のアリーナ――歴史家たちの一九三〇年代』が、7/13『読売新聞』文化面で紹介されました(真崎隆文・文化部記者)。
『「戦前歴史学」のアリーナ』は、現代の歴史学者13人が論考とコラムで、30年代の「戦前歴史学」の実像を見つめ直した論集だ。
神戸大の昆野伸幸教授は、皇国史観の指導者とされる平泉澄を取り上げ、平泉史学を捉え直した。
昆野教授は、総力戦体制に導いた平泉史学の戦争責任に触れつつも、「内向きに閉ざされた歴史観で、植民地支配を積極的に正当化した側面はあまりなかった。戦前・戦時期の悪玉として平泉に全責任を負わす認識とはズレがある」と話す。
「戦後、“皇国史観”が、戦前の悪いイメージを喚起させる便利な言葉として、画一的に使われている。平泉の「皇国史観」をはじめとする戦前歴史学の多様性を発見し、検討することが、戦争という大きな流れを食い止められた可能性を見いだすきっかけにもなるはずだ」