『近世日本の「礼楽」と「修辞」』が第38回サントリー学芸賞を受賞

高山大毅『近世日本の「礼楽」と「修辞」 荻生徂徠以後の「接人」の制度構想』が第38回サントリー学芸賞(思想・歴史部門)を受賞しました.選評は以下のとおり.
「荻生徂徠の登場によって,徳川時代の思想史は大きく変わった.丸山眞男が1940年代に,その学界に対するデビュー作で説いたテーゼである.その後70年をへて,伊藤仁斎・荻生徂徠・本居宣長の思想についての理解や,時代の思潮が何から何に変わったのかという見解については,さまざまな新説が登場してきたが,徂徠学の登場を一つの画期とする点は,研究者の間ではほぼ共通了解になっている. 高山氏の著書は,この大テーマにとりくんで,新たな徳川思想史像を打ち出した大胆な試みにほかならない.副題にある「「接人」の制度構想」という言葉は,徂徠の登場以後,18世紀後半の儒者・文人が共有した新たな思想の枠組を,著者自身の言葉で概念化したものである.研究の内容は,儒学・国学・水戸学にわたり,「礼楽」と「修辞」に限らず,その前提となる人間像や社会像など,幅広い問題を含んでいる.それを一貫した構想のもとに整序し,非専門家にも理解しやすい文体で巧みに叙述しているのも,本書の特筆すべき美点である.」(評者:苅部直氏)選評の全文→ http://www.suntory.co.jp/news/article/12785-3.html#takayama「このような高名な賞を賜り,水足博泉や田中江南について多くの方々に知って頂く機会を得られたことを本当に嬉しく思います.本書で扱ったのは,江戸期の活発な知的営為の中のほんの一部分に過ぎません.今後も精進を重ね,近世日本の学問が,現代を生きる我々にとっても貴重な思想資源であることを明らかにしていければと思っています.」(受賞のことば)受賞のことばの全文→ http://www.suntory.co.jp/news/article/12785-4.html#takayama
サントリー文化財団ウェブサイトのニュースリリースには受賞者略歴,選評全文,受賞のことばが掲載されています.ご参照ください.
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