第12回東京大学南原繁記念出版賞発表

※第13回東京大学南原繁記念出版賞論文応募の受付は、2022年5月27日17時をもって終了いたしました。ご応募ありがとうございました。

2021年12月6日の東京大学出版会理事会において、「第12回東京大学南原繁記念出版賞」が以下の2点に決定しました。


●菊間晴子(東京大学大学院総合文化研究科教務補佐員)
『犠牲の森で――大江健三郎作品における死生観』

●新田龍希(早稲田大学地域・地域間研究機構台湾研究所次席研究員)
『植民地台湾の形成――清末・日本統治初期における国家・社会関係の転換』

講評などの詳細は、追って公開いたします。受賞した論文は、後日、東京大学出版会から書籍として刊行されます。


【東京大学南原繁記念出版賞について】
  一般財団法人東京大学出版会は、1951年3月1日、ときの東京大学総長南原繁先生の発意により本学教員有志の賛同を得て、日本の国立大学では初めての大学出版部として設立されました。以来、「大学における研究とその成果の発表を助成するとともに、学問の普及、学術の振興を図る」(設立趣意書)ために、着実な出版活動を続けてまいりました。この間刊行しました書籍は8000点以上になります。
 2011年3月1日に創立60周年を迎えるにあたり、この設立趣旨の一層の達成に向け、東京大学南原繁記念出版賞を創設しました。これは、優れた学術論文を発掘し、書籍として世に問う機会を広く推し進めたいという意図に基づくものです。そして東京大学出版会は、本出版賞創設を契機に、将来の世代に向けて清新で創造的な大学出版部活動を更に展開する決意であります。

【東京大学南原繁記念出版賞 Q&A】
Q1 (推薦書での)推薦者は東京大学の「教授」でないといけませんか。
A1a →教授以外に,准教授のご推薦が可能です。一方、名誉教授のご推薦は不可としております。
A1b→上記のA1aにてご推薦の可能な方であれば、応募論文の学位審査者主査のご推薦も可能です。
A1c→ただし、上記のA1aでご推薦の可能な方でも、小会の理事や評議員、企画委員を務めていただいている場合には、審査の公平を期すため推薦者にはなれない規定となっておりますので、ほかのご推薦者によるご応募をお願いいたします。

Q2 どんな内容の論文が対象ですか。
A2a →ジャンルを問わず、どの分野の論文でもご応募いただけます。参考までに、小会が南原繁記念出版賞の前身として長年行ってきた東京大学出版会刊行助成では、工学、林学、心理学、社会学、教育学などの刊行実績があります。
A2b→博士論文に限らず、修士論文のご応募も可能です。
A2c→ご推薦の可能な方(A1a参照)のご推薦があれば、東京大学以外へ提出された博士論文・修士論文のご応募も可能です。

Q3 応募論文はどの程度しっかりした製本をしないといけませんか。
A3 原稿の散逸を防ぐため、簡易製本や2穴ファイルでのファイリング等をお願いします。

Q4 選考はどのような過程でなされますか。
A4a →第1次選考(東京大学出版会理事会と企画委員会による選考委員会での審査)、第2次選考(選考委員会の外より各論文ごとに匿名の審査者2名を専任して審査)、最終選考(選考委員会での審査)を行います。本出版賞決定は、選考委員会での最終選考の内容に基づき理事会が行っています。
A4b→受賞を惜しくも逃した論文でも、最終選考の際に付帯決議が付いた場合には、他の助成獲得や改稿などを条件に東京大学出版会から刊行される場合があります。

Q5 他の出版助成等と併願して応募をすることはできますか?
A5→推薦書の「他助成金への申請または申請予定の有無」で「有」に○をされている場合には、その助成の詳細や優先順位などをお伺いする場合があります。なお、第1次選考で落選された場合には速やかに応募者・推薦者へ封書にてご連絡し、他方途(科研費など)へご応募できるよう配慮をしております。

Q6 他出版社から刊行が決定している論文の応募はできますか。
A6→南原繁記念出版賞は東京大学出版会からの刊行を前提としていますので、他の出版社等から刊行が決定している論文は応募できません。

Q7 東京大学には「東京大学学術成果刊行助成」という助成制度もあると聞いたのですが、南原繁記念出版賞との違いは?
A7→南原繁記念出版賞は東京大学出版会が独自に公募と選考を行うもので、東京大学の本部が運営している東京大学学術成果刊行助成とは別の刊行助成制度です。

Q8 南原繁記念出版賞を受賞して刊行された本が、他の賞を受賞した例はありますか。
A8→あります。たとえば、学術著作物を対象とした代表的な出版賞であるサントリー学芸賞には2点の作品が選ばれています(2022年4月現在)。
 
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【これまでの受賞作品(受賞者の所属は受賞当時のものです)】

【第12回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】
菊間晴子『犠牲の森で――大江健三郎作品における死生観』

新田龍希『植民地台湾の形成――清末・日本統治初期における国家・社会関係の転換』

【第11回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】
江口 怜『戦後日本の夜間中学に関する歴史的研究――周縁の義務教育史の視座から』
→ 『戦後日本の夜間中学――周縁の義務教育史』として刊行

木山幸輔『人権の哲学――自然本性的構想及び二元的理論の擁護とその含意』
→『人権の哲学――基底的価値の探究と現代世界』として刊行 

【第10回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】
宋晗(そう・かん)『平安朝文人論

【第9回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】
鈴木啓之『蜂起と占領下のパレスチナ(1967~1993年)』
→『蜂起〈インティファーダ〉 占領下のパレスチナ 1967-1993』として刊行

志田雅宏『ナフマニデスの聖書解釈研究:知の源泉とその彼方』(※刊行準備中)

【第8回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】
江本 弘
『北米建築論壇におけるジョン・ラスキン受容に関する研究』
→『歴史の建設――アメリカ近代建築建築論壇とラスキン受容』として刊行

【第7回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】(2017年)
石川 学(東京大学大学院総合文化研究科特任助教)
 『ジョルジュ・バタイユにおける行動の論理と文学』
→『ジョルジュ・バタイユ――行動の論理と文学』として刊行

濱田武志(日本学術振興会特別研究員PD)
 『漢語系諸語と系統樹――「粤(えつ)語」からの視点』
→『中国方言系統論――漢語系諸語の分岐と粤語の成立』として刊行

【第6回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】(2016年)
 多田蔵人 (鹿児島大学法文学部人文学科准教授)
『永井荷風研究──江戸文化の受容と「小説」の創出』
→『永井荷風』として刊行

【第5回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】(2015年)
 高山大毅(東京大学大学院人文社会系研究科研究員)
『近世日本の「礼楽」と「修辞」――荻生徂徠以後の「接人」の制度構想』
→『近世日本の「礼楽」と「修辞」――荻生徂徠以後の「接人」の制度構想』として刊行

【第4回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】(2014年)
 小林延人(日本学術振興会特別研究員PD)
『明治維新期の貨幣経済』
→『明治維新期の貨幣経済』として刊行

【第3回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】(2013年)
藤岡俊博(滋賀大学経済学部准教授)
 『エマニュエル・レヴィナスと「場所」の倫理』
 本田晃子(北海道大学スラブ研究センター非常勤研究員)
 『天体建築論――イワン・レオニドフと紙上の建築プロジェクト』
→それぞれ、『レヴィナスと「場所」の倫理』、『天体建築論――レオニドフとソ連邦の紙上建築時代』として刊行

【第2回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】(2012年)
 福岡万里子(日本学術振興会特別研究員)
『プロイセン東アジア遠征と幕末外交』
→『プロイセン東アジア遠征と幕末外交』として刊行

【第1回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】(2011年)
 鶴見太郎(日本学術振興会特別研究員)
『ロシアとパレスチナを繋いだ想像力――シオニズムの歴史社会学』
→『ロシア・シオニズムの想像力――ユダヤ人・帝国・パレスチナ』として刊行




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