田中純著『イメージの記憶(かげ)』が、『美術手帖』2022年10月号で紹介
2022/09/09 書評・メディア掲載
田中純著『イメージの記憶(かげ)――危機のしるし』が、美術出版社発行の『美術手帖』1095号(2022年10月号)で紹介されました。評者は岡俊一郎氏(美術史研究)。
イメージが私たちに働きかける能動的な力を持つことを理論的に示したうえで、ホロコーストをめぐる様々な表象の試みや建築、進行中のパンデミックと呼応する図像といった具体的な分析対象を取り上げ論じていく。アビ・ヴァールブルクの『ムネモシュネ・アトラス』を重要な参照点とする著者の関心は、イメージを作り上げるという操作が、いかに歴史の叙述やイメージ間の潜在的な関係性が浮かび上がらせる行為とつながりを持っているかという点にある。挿画に宇佐美圭司の作品が用いられているのは、著者が宇佐美の作品に、そうしたイメージとイメージの相互作用のひとつの在り方をみているからにほかならない。
イメージが私たちに働きかける能動的な力を持つことを理論的に示したうえで、ホロコーストをめぐる様々な表象の試みや建築、進行中のパンデミックと呼応する図像といった具体的な分析対象を取り上げ論じていく。アビ・ヴァールブルクの『ムネモシュネ・アトラス』を重要な参照点とする著者の関心は、イメージを作り上げるという操作が、いかに歴史の叙述やイメージ間の潜在的な関係性が浮かび上がらせる行為とつながりを持っているかという点にある。挿画に宇佐美圭司の作品が用いられているのは、著者が宇佐美の作品に、そうしたイメージとイメージの相互作用のひとつの在り方をみているからにほかならない。