工藤晶人著『両岸の旅人』が、『週刊文春』10/20号で紹介

工藤晶人著『両岸の旅人――イスマイル・ユルバンと地中海の近代』(シリーズ・グローバルヒストリー3)が、『週刊文春』10/20号掲載、文春図書館面コラム「私の読書日記」で紹介されました。評者は鹿島茂氏(フランス文学者)。

日本の欧米史研究には大きな欠点があった。近代は帝国主義の時代だということは分かっていっても、本国と植民地との関係までは手が回らず、例えばフランス史はフランス本国史とほとんどイコールになっていたのである。しかし、21世紀に入り、この欠点は急速にカバーされつつある。2013年度のサントリー学芸賞を受賞した『地中海帝国の片影――フランス領アルジェリアの19世紀』の著者・工藤晶人はそうした新しい研究者の一人だが、新刊『両岸の旅人――イスマイル・ユルバンと地中海の近代』はサン=シモン主義とナポレオン三世が扱われているので、私としては頁を開かずにはいられない。(…)著者がユルバンという「両岸の旅人」を掘り起こしたことの意味は大きい。歴史家としてはナラティブに長けた文体である。
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